安全衛生計画書は、建設現場の安全を守るために欠かせない書類です。
安全衛生計画書は、工事を安全にスムーズに行うために必要な書類のため、施工管理職を目指す人は記入内容や書き方について知っておきましょう。
本記事では、施工管理職が覚えておきたい安全衛生計画書の概要や記入内容、注意点などをご紹介します。
安全衛生計画書とは
安全衛生計画書とは、安全書類の一つで、工事を安全に進行するための心がけや行動を示した書類です。
労働災害の防止、安全意識の向上などの目的で作成されます。
安全衛生計画書を作成することで、工事に携わる労働者が共通の安全意識を持てるようになります。
安全衛生計画書の記入内容・書き方
安全衛生計画書は、項目ごとに記入する内容と書き方が定められています。
ここでは、項目ごとの記入内容と書き方についてご紹介します。
安全衛生方針
安全衛生水準の向上を目指し、現場の管理官や労働者が心がけておく意識や方針などを記載します。
たとえば、以下のような内容です。
- 設備や機械の安全化を図り、快適な職場環境を作ることを促進する
- 労働者の協力のもと安全衛生管理活動を行う など
安全衛生目標
安全衛生目標には、特定の危険や有害と考えられる原因に対しての取り組みと、その取り組みで達成すべき目標を記載します。
この項目は数値目標なども入れ、具体的に記載することが多いです。
たとえば、以下のような内容です。
- 安全衛生の達成率は85%にする
- 重機を使用する際に、周囲の立ち入りをゼロにする
- ヘルメットや安全帯は必ず着用する など
安全衛生上の課題および特定した危険性/有害性
前年度の工事の状況や過去の類似工事を振り返り、安全衛生上の危険性や有害性などを記入します。
たとえば、以下のような内容です。
- 作業手順書の低減対策が充分ではなかった
- 足場から墜落する災害が発生した など
安全衛生計画
安全衛生計画には以下の7つの項目があり、それぞれ安全衛生目標を達成するための取り組みや日程を書き入れます。
- 重点施策
- 実施事項
- 管理目標
- 実施担当
- 実施スケジュール
- 評価スケジュール
- 実施上の留意点
これらの項目は、慣れないうちは過去に作成された安全衛生計画書を確認したり、先輩などに確認したりしながら行いましょう。
作業所共通の重点施策/実施事項
安全衛生目標達成のための具体的な重点施策や、実施事項を記入します。
記入例
- 重点施策「墜落災害防止措置の徹底」
- 実施事項「安全帯の正しい使用」
現場の労働者が、具体的に何をすればいいのか分かりやすいように記入するのがポイントです。
安全衛生行事
月ごとに記入欄があり、実施する予定の安全衛生関連の行事を記入します。
テンプレートなどでは4月始まりになっているものも多いですが、工事が始まる月から記入しましょう。
行事のない月は記入する必要はありませんが、予定している行事は漏れがないようにします。
たとえば、以下の行事などがあります。
- 安全大会
- 春の交通安全運動
- 秋の火災予防運動
- 安全協議会
安全衛生管理体制
安全衛生に関わる自社の担当者の氏名と、役職名を記入します。
以下の欄は、現場で常時労働する労働者の数で記入の有無が異なります。
- 安全衛生推進者(または衛生推進者):常時10人~50人未満の労働者が働くとき
- 安全管理者、衛生管理者、産業医:常時50人以上の労働者が働くとき
- 統括安全衛生管理者:常時100人以上の労働者が働くとき
法律上はすべての担当を兼務することも可能ですが、実務の量を考えると難しいため、それぞれ別の担当者が行うのが一般的です。
安全管理者、安全衛生推進者は産業安全に関する実務経験が必要です。
また衛生管理者は免許が必要ですので、免許の有無を確認してから決定しましょう。
安全衛生計画書作成における注意点
安全衛生計画書は、簡潔で分かりやすい内容を記載することが大切です。
また、中小規模の事業場では、方針の的を絞りより具体的な安全衛生方針を示すことが重要です。
安全衛生方針を決定する際には、経営会議などの意思決定機関で審議を行うことも効果的とされています。
方針内容は、現状に則しており実行可能であることを見極めた上で決定します。
現場へ周知することも重要
方針は、労働者の安全衛生に関する考え方や行動に大きな影響を与えるものです。
そのため、管理責任者や担当者だけでなく、現場の労働者すべてに周知を図る必要があります。
周知の方法は、以下の方法があります。
- 社長室、休憩室、職場などに掲示する
- 社内通信に記載する
- 社内安全衛生大会などの場所でトップが労働者に語る
- 職場のミーティングなどで職長が説明する
あらゆる機会で周知を図りましょう。
安全に作業を進めるために欠かせない書類
安全衛生計画書は、安全に作業を進めるためには欠かせない書類の一つです。
ルールに則って記入すれば良い項目ばかりではないので、最初は上長や先輩などに相談しながら記入するのがおすすめです。
また、記入後は現場への周知を忘れないようにしましょう。