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ボイリング現象の対策を知ろう!ヒービング現象や盤ぶくれ現象との違い

ボイリングとは、掘削底面の破壊現象の1つです。
掘削底面の破壊現象は、他にも、ヒービング現象や盤ぶくれ現象があります。
本記事では、ボイリングの概要や、主な対策方法、ヒービング現象、盤ぶくれ現象についてご紹介します。

ボイリング現象とは

ボイリング現象とは、地面から砂と土が混ざった泥水が噴出する現象です。
地下水位が高い地盤を掘削したり、透水性が高い砂質土の場合、水圧によって土が押し上げられて発生することがあります。
掘削を進めると、土留めの背面にある水位と、掘削面側の水位の差が大きくなります。
この水位の差によって、土留めの外側にある水が内側へと入り込み、砂と土、水が湧きだして、掘削底面を破壊してしまうのです。
ボイリングが発生すると、建築物が倒壊する危険性があります。

ボイリング現象への対策

ボイリング現象、または次項以降で詳しく紹介するヒービング現象や、盤ぶくれ現象が起きた場合、公衆災害の防止を考えて行動する必要があります。
まず、周辺地盤に変状が確認された場合は、道路管理者等の関係機関に連絡します。
次に、応急処置として、土留め壁の背面に土・水等による埋戻しを行い、変状の収束を確認します。
ここまで対応した上で、対策に移ります。

ボイリング現象への対策は、以下のようなものがあります。

薬液注入工法

硬化時間を調整できる薬液を地盤の中に入れ、地盤の強化を行う方法です。
設置や撤去が簡単で、小型の施工機械を使うことで済むことから、有効な手段とされています。
また、ボイリング現象によって中断された現場も、薬液注入を行うことで工事を再開できることがあります。

ディープウェル工法

掘削構内・構外にディープウェル(深井戸)を設置し、中に流れてくる地下水をポンプなどで排水する工法です。
排水によって、地盤の地下水位を安定させます。

ウェルポイント工法

ウェルポイントと呼ばれるパイプの先端を地盤に打込み、地上のポンプで強制的に排水する工法です。
地下水位の低下や、軟弱地盤の改良などが期待できます。
比較的浅い掘削を行う際に、採用されることが多い工法です。

窯場工法

掘削床より深い部分に、窯場と呼ばれる集水ピットを設け、ポンプによって排水する工法です。
比較的小規模な湧水に対して行われます。
設置が容易なため、計画の変更に柔軟に対応できます。
ただし、ボイリングが生じる地盤では地下水の処理が間に合わない可能性があります。

ボイリング現象の予防

ボイリング現象は、地下水位の高い砂質地盤で発生するため、事前に予防を行うことで被害を防げる可能性があります。
予防方法は、主に以下の3種類とされています。

地盤改良
薬液注入工法などにより地盤の強化を図り、ボイリングを防止する方法です。

土留の補強
土留の根入れを長くし、土留めを強化する方法です。
根入れを長くすることで、有効重量が大きくなります。

水位の低下
ディープウェル工法や、ウェルポイント工法などで、地下水をポンプなどで汲み上げて排水し、水位を低下させる方法です。
ボイリングの対策方法としてだけでなく、予防方法としても一般的に行われています。

ヒービング現象

ヒービング現象

ヒービング現象とは、粘性土地盤のような軟弱地盤で、土留めの背面にある土が内側に回り込んでしまい、掘削地盤の底面が押し上げられる現象です。
土留め倒壊、土留め背面の地盤沈下、陥没につながります。
主に、掘削底面付近にやわらかい粘土層がある場合や、沖積粘土地盤などで含水比の高い地面などで起きやすいとされています。

対策

一般的な対策として挙げられるのが、地盤の強度を上げる「地盤改良」です。
ボーリングマシーンで施工が可能な、「高圧噴射攪拌工法」などが使われることが多いです。

高圧噴射攪拌工法

固化材を高圧で噴射し、地盤を切削しながら混合・攪拌を行う工法です。
地中に構造物がある場合や、狭い場所での改良も可能とされています。

また、以下の方法が使われることもあります。

  • 根切り底面と元の地盤の落差を少なくする
  • 強固な地盤まで山留めを伸ばす
  • 土留め壁の背面の地盤をすき取り、盤下げを行う

盤ぶくれ現象

盤ぶくれ現象

盤ぶくれ現象とは、掘削底面の下に難透水層があり、地下水の水圧によって掘削底面が押し上げられる現象です。
大規模掘削の際に、起きやすいとされています。

対策

盤ぶくれ現象の対策としては、薬液注入工法や水位低下工法による遮水層の構築、地盤改良などが挙げられます。
具体的には、以下のような対策が取られることが多いです。

  • 遮水性のある土留め壁を使い、被圧帯水層を遮断する
  • 水位低下工法などで、背面の地下水位を低下させる
  • 土留め壁の根入れを深く行う

ボイリングをはじめとした掘削底面の破壊現象について知っておこう

ボイリングやヒーリング、盤ぶくれ現象などが起きてしまうと、工期・費用面において大きな問題となることが多いです。
そのため、計画段階において地盤に関する十分な検討を行うことが大切です。
もし地盤に問題が見つかったら、事前に対策を行うことで現象の発生を抑えられます。
どんな現象があるのか、どのような対策を取ればいいのかを知っておきましょう。