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排水トラップや掃除口とは?排水通気設備について詳しくなろう

排水トラップや通気管などの排水設備は、人々の生活に欠かせない設備です。
詳しい役割や設置場所について理解しておきましょう。

本記事では、排水トラップや通気管・排水槽・屋外排水管などについて解説します。

排水トラップとは

排水トラップとは、排水設備の配管の途中に設けられている、下水道の悪臭やガスが屋内へ侵入するのを防ぐ器具や装置、または構造です。
害虫やネズミなどを屋内に進入させないトラップの働きもします。
排水トラップが故障すると、悪臭やガスの屋内侵入や害虫、ネズミが侵入する可能性があります。
そのため排水トラップは定期的に点検し、必要に応じて修理や交換が必要です。

排水トラップの種類

排水トラップには、大きくサイホン式と非サイホン式に分けられます。

サイホン式

  • Pトラップ
  • Sトラップ
  • Uトラップ

非サイホン式

  • ドラムトラップ
  • わんトラップ

サイホン式トラップは、排水が満流で流れると封水が減少する自己サイホン作用が発生しやすくなります。

封水とは、排水トラップに溜められた水のことです。
封水が減少、蒸発すると悪臭や害虫が侵入する可能性があるため、定期的に点検し、必要に応じて補給を行う必要があります。

掃除口の設置例

排水トラップには、排水管内の点検や清掃を行うために掃除口が設けられます。
汚れやすく、定期的に掃除する必要があります。

掃除口は、床上型と床下型があり、トイレなど水で洗う場所には防水型が使用されます。
様々な形状や大きさがありますが、ほとんどの場合は蓋で閉じられています。
蓋を開けると、排水トラップ内の汚れが見えるので、掃除用ブラシやスポンジで汚れを落とします。

通気管の役割

通気管は排水によって起こる圧力の変動を緩和し、排水トラップの封水を保護するために設置します。

排水管は排水の際に空気が吸い込まれて、負圧状態になります。
負圧状態になると、排水トラップの封水が吸い込まれて破壊され、悪臭が漏れ出てきます。

そのため、通気管により排水管内の負圧状態を緩和することで、排水トラップの封水の破壊を防ぎます。

通気管の開放先を設ける上での留意点

通気管は、排水管の直上に取り付けることが重要です。
排水管の直上に取り付けることで、排水管内の空気を効率的に外部に排出することができます。

また、排水の臭気があるので、末端は建物の窓などから距離を離して設置しなくてはいけません。
末端は、空調設備の給排気口から出来るだけ離します。
臭気がこもりやすい庇の下などには設置しないようにします。

排水槽の特徴

排水槽は、汚水や雑排水を一時的に貯留する設備で、ビルやマンションなどの地下階に設置されます。
排水管から汚水や雑排水が排水槽に流れ込み、排水ポンプによって下水道に排出されます。
また、水や雑排水を下水道に排出する前に汚泥や油脂の分離や悪臭を抑える役割も担っています。

排水槽の種類

排水槽の種類は、大きく分けて「汚水槽」「雑排水槽」「雨水槽」「湧水槽」の4種類があります。

汚水槽
トイレや洗面台などの排水を処理する槽です。
汚泥や油脂を分離したり、悪臭を抑えたりするための役割も担っています。
排水や臭気が漏れ出ない構造とし、雑排水層などとは隣接しないようにします。
厨房排水層などでは、腐食性が強いガスが発生しやすいため、槽の内面を防食塗料などで処理します。
排水層には通気管を設け、自然硫化方式の排水通期間などには接続せず、単独で外気に開放します。
また、内部の保守や点検が簡単にできる位置に防臭型マンホールを設け、槽内にはポンプを設置します。
底部には維持管理がしやすいようにポンプの吸い込みピットに向かい、勾配と階段を設けます。

雑排水槽
台所や浴室などの排水を処理する槽です。
汚水槽と比べ、汚泥や油脂の量が多いです。

雨水槽
雨水を貯留する槽です。
雨水を下水道に排出する前に、貯留槽に貯めて地中に浸透させたり、植木の水やりに利用したりします。
雑用水の原水に利用しない場合は、そのまま屋外に放流します。
屋根や道路面からの雨水には土砂などが含まれているため、清掃しやすいように槽の流入部分に砂だまりを設ける場合もあります。
台風やゲリラ豪雨で一時的に大量の雨水が流入すると、あふれて地下機械室などに大きな被害をもたらす可能性があります。
そのため、槽の容量や排水ポンプの種類は地域の過去最大雨量を調査し、余裕のあるものを選定しましょう。

湧水槽
建物外部の地下などから浸透してきた湧水を貯留する槽です。
湧水を下水道に排出する前に貯留槽に貯め、飲料水や洗濯水、植木の水やりに利用します。

屋外排水管の特徴

屋外排水管

屋外排水管とは、建物の屋外にある排水管です。
汚水や雨水を下水道や河川に排出する役割を担っています。
一般的に、コンクリートやアスファルトで作られており、地中に埋設されています。

排水桝も一緒に設置される

また、屋外排水管には排水桝が設置されています。
排水桝とは、屋外排水管の途中に設置されている、汚水や雨水を溜め込むための設備です。
一般的にコンクリート製や鋼管製で地面上に設置されているため、目にすることができます。
排水桝は、汚水や雨水を溜め込むことで排水管の詰まりを防ぐ役割を担っています。
また、排水桝には汚水や雨水に含まれるゴミや異物を分離する役割もあります。

排水桝における注意点

排水管は、流入管と流出管との間に落差を設けます。
また、雨水桝の底部には泥だまりを設置する必要があります。
汚水桝と合流する雨水桝には、臭気防止のためにトラップ桝が設けられます。
さらに、桝の蓋となるマンホールは、通行車両などの荷重に耐えられるものを選びましょう。
加えて、タイル舗装などを行っている部分では、化粧蓋にするかの確認を行います。
全ての排水桝は維持管理しやすいよう、排水管の合流本数や排水管径、桝の深さに適したものを選びます。
さらに、下水道事業者の基準の確認も行います。

排水通気設備について知ろう

排水トラップや通気管、排水層、屋外排水管などは建物から出る汚水や雨水を処理するために欠かせません。
排水通気設備を正常に保つことで、快適な生活を送ることができます。
設置場所などによって使用する種類などが細かく定められていることを、覚えておきましょう。