土木施工管理の方が知っておきたい現象の1つに「ポップアウト現象」があります。
概要や原因を理解しておくことで、対策が立てやすくなるでしょう。
本記事では、ポップアウトの概要や原因、対策についてご紹介します。
ポップアウトとは
ポップアウトはコンクリートの劣化現象で、表面が円錐状の皿のように剥離する現象です。
表面に発生するものであるため、強度にはさほど影響はありませんが、鋼材の腐食につながることもあります。
そのため耐久性の観点から見ると、早急に対策する必要があるでしょう。
コンクリートのひび割れは深い溝が発生するものですが、ポップアウトはあくまで表面が薄く剥離する現象を指します。
同じ劣化現象でも症状が大きく異なることを、知っておきましょう。
ポップアウトの原因
ポップアウトが起こる原因は、複数あります。
ここでは、ポップアウトが起こる一般的な原因をご紹介します。
原因1:凍結融解作用
凍結融解作用によって起こる劣化です。
コンクリート中の水分が凍結する際に、膨張圧や移動圧によって起こるとされています。
また融解する際の膨張・収縮が、骨材とセメントペースト、表層部と内層部で異なることでも引き起こされるといわれています。
原因2:鉄筋の腐食
コンクリート内部にある鉄筋が腐食し膨張することで発生する可能性もあります。
コンクリート表面から雨水などが染み込むことで、内部の鉄筋が徐々に腐食し、サビが発生することで膨張してしまうことがあります。
膨張によって内部の体積が増えることで、コンクリートの表面にポップアウトが発生してしまうのです。
原因3:反応性骨材による膨張
ポップアウトは、反応性骨材による膨張によっても引き起こされることがあります。
コンクリートのアルカリが内部にある反応性骨材の成分と化学反応を起こした場合、内部応力が発生します。
その結果、反応性骨材周囲のコンクリートが破壊されるといわれています。
ポップアウトの対策
凍結融解によるポップアウトは、適切なAEコンクリートを用いることで防げるとされています。
しかし、骨材に粘土塊や軟石が多く含まれていると、AEコンクリートでもポップアウトが生じる可能性があります。
そのため、こうした骨材を用いたコンクリートでポップアウトが多く発生している場合は、まず骨材を変更しましょう。
また反応性骨材によるポップアウトが起きている場合も、骨材を変更します。
鉄筋の腐食によって引き起こされる場合は、水セメント比が小さいコンクリートを採用することが推奨されています。
ポップアウトに対する知識を身に付けよう
ポップアウトはただちにコンクリートの強度には影響しませんが、進行すると大掛かりな補修が必要になる可能性があります。
正しい原因を知っておけば早めの対策が可能ですので、ポップアウト現象の理解を深めておきましょう。