TfasはCADソフトの1つですが、もともとは大手設備会社が開発したとされています。
空調衛生設備や電気設備の現場の約7割で導入されています。
そのため、空調衛生設備や電気設備分野を希望している方は、機能や使い方について知っておいた方が良いでしょう。
本記事では、Tfasの概要や基本機能・3D機能などをご紹介します。
Tfasとは
CADソフトの一種である「Tfas(CADWe’ll Tfas)」は、空調衛生設備や電気設備専用として開発されました。
AutoCADやJw_cadは2次元CADですが、Tfasは3次元CADに分類されます。
そのため、「高さ」の概念を理解しておく必要があります。
建物には、配管や配線が張り巡らされています。
完成後は目に見えない部分ですが、設計・施工時には入り組んだ部分もぶつからないように作図する必要があります。
Tfasは、そんな複雑な部分も比較的簡単に設計できるように開発されました。
基本機能と3D機能
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Tfasには、多様な現場に対応できるさまざまな機能が搭載されています。
ここでは、基本機能と3D機能についてご紹介します。
基本機能
Tfasは、簡単で使いやすいという操作性を追求したソフトです。
コマンドを選択しなくても、図形に表示されたハンドルを操作するだけで、移動や複写などの編集が行えます。
また、ツールバーの入力エリアに検索キーワードを入力すれば、目的のコマンドを検索できます。
文字編集
図形全体の文字を全半角変換・文字置換・文字一括変更などで修正できます。
また文字の記入や編集をする際にも、図面内の文字列を選択でき、文字を一括で変更可能です。
シート
建築図と設備図のシートを分けておけば、建築図が変更になっても差し替えの手間を削減できます。
複数のシートの表示状態を「パターン」として登録できるので、切り替えることで表示を素早く切り替えられます。
3D機能
面や立体形状を組み合わせることで3D形状を作り、5面図登録や電気部品のユーザー3D形状を登録可能です。
また2D図面で作成・編集した内容をリアルタイムに3Dに反映させることもできます。
さらに最新のグラフィック技術を搭載することで、3Dビューの作成時間が大幅に短縮されています。
3D干渉検査の処理時間も高速化されており、干渉箇所の確認もできます。
空調衛生設備機能
空調設備を設計するためのさまざまな機能が搭載されています。
機器・器具配置
機器配置時には、機器と連動した機番を同時に配置することができます。
また、配置済みの部品や部材を指示して同一部品や部材を素早く配置できたり、指定した風量や風速で計算したサイズの制気口を配置することが可能です。
ルーティング
コマンドを切り替えることなく、末端までスムーズな作画が可能です。
接続パターンや途中のサイズ、レベルを変更する場合は、最適な候補部材が自動的に仮表示されるのでそこから選ぶことができます。
また、勾配を付加しながら配管を作図できますし、作図後に勾配を付加することも可能です。
機器・器具への配管やダクトを接続する際には、接続口に自動で接続できます。
さらにダクトや配管にペイントを自動で付加することが可能で、用途による色分けなども行えます。
機番配置
複数の機器に対して1つの機番を配置できます。
また、機番と連動している機器の保持している情報は、Excelに出力が可能です。
連動状態は機器を点滅させることで、確認することが可能です。
冷媒管作図/シミュレーション作図
冷媒管の曲がりの大きさの設定や、分岐の自動発生なども可能です。
また、複数の冷媒管の作図や冷媒管の単線・複線表現の切り替えもできます。
アイソメ図
配管やダクトのアイソメ図の作図が可能です。
またアイソメ図から材料表の作成や、接続工法ごとに継手表現の設定もできます。
静圧計算/揚程計算
系統や区間の「静圧計算」や「揚程計算」を行い、結果はExcelに出力できます。
計算ルートは2D・3Dどちらでも行えます。
またアイソメ図を作成することも可能で、風量や流量、最大抵抗ルートなどの確認ができます。
部材の挿入・削除
バルブ・ダンパなどの部材を挿入する際には、直管からサイズを自動で取得できます。
部材挿入する基準は、「中心」「左端」「右端」で切り替えられます。
また、方向を仮表示で確認しながら作図することが可能です。
電気設備機能
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Tfasは、電気設備を設計するためのさまざまな機能も搭載されています。
器具配置
Tfasは、JECAシンボルが標準搭載されています。
器具はイメージ表示やリスト表示などを、一覧から素早く選択可能です。
個別・壁付・領域・円弧などさまざまな配置方法やサイズを指定した器具配置ができます。
また器具を配置する際には、3D形状を選択でき、プレビューで確認可能です。
電気部品の3D形状は多数搭載されており、一括で登録することもできます。
器具編集
配置後の複数の器具に対して、拡大や縮小、置換などが一括で行えます。
また器具の移動・変更・削除をする際には、接続された配線も自動的に修正されます。
図面の縮尺を変更する際にも、器具は自動で最適なサイズに変換されます。
作図チェック機能
建築図の変更などで壁が移動した際に、壁付器具の修正もれなどもチェックできます。
図面の文字に隠れた部品もチェックできるため、見落とすリスクも低減できるのが特徴です。
配線作図
接続情報により器具への配線は自動的に適切に接続されます。
配線作図時には「配線省略」を付加し、「エンド伏せ記号」を自動配置できます。
また複数配線に対しても、複数配線エンド伏せを作図可能です。
ケーブルラック
断面側での立上げ下げ方向の指定ができるので、折線を描くように作図が可能です。
また配線種類や本数で計算したラック幅で作図もできます。
さらに作図済みのケーブルラックを指定し、サイズやレベルなども表示可能です。
Tfasを導入するメリット
ここまでTfasで使用できる機能やその使用方法について紹介してきました。続いてTfasを導入するメリットについても確認してみましょう。
業務の効率化
設備系の設計に特化したCADソフトTfasを利用すれば、設備設計に必要な機能が数多く搭載されており、業務効率化に大きく貢献します。
例えば、空調設備や電気設備などのシンボルが最初から登録されており、簡単に呼び出すことが出来ます。
他にも「配管に高さの概念を持たせる」、「2次元と3次元の両方に対応している」など、設備関連の設計に役立つ機能が盛り込まれています。
もちろん汎用系のCADソフトAutoCADを使用しても、同様の設計図を作成することが出来るかもしれません。しかし、AutoCADだけで設備関連の設計を効率化しようとすると、設備のシンボルを別画面からコピーしてくる必要があります。
また、建築業界で使用されるCADソフトとして、無料でダウンロードできるJW_CADも有名です。こちらの場合、JW_CADは2次元の設計にしか対応しておらず、直感的な作図をしようとするとTfasに軍配が上がります。
このように、空調設備や電気設備、ガス設備、排水設備など、設備関連の設計を行うのならば、あらかじめ必要な機能が付属している特化型CADソフトを用いるのが良いでしょう。
設備関連の設計を中心に行う方はもちろん、自分の業務分野が明確に分かっている初心者の方にもおすすめです。
他のCADソフトと互換性が高い
Tfasは他のCADソフトとの互換性が高いのも魅力的です。AutoCADで作成した設計図を読み取り、Tfas上で編集することも出来ます。業界内ではそれぞれの業務分野に適したCADソフトが使用されます。
例えば、JW-CADは建築設計に特化したCADソフトであり、Vectorworksは建物のデザインを設計する際に用いられます。
また、AutoCADは汎用的なCADソフトであり、業界や分野を問わず様々な現場で使用されているでしょう。Tfasと同じ設備設計でもRevitというCADソフトが人気です。
このように業界では様々なCADソフトが使用されており、会社で働く設計士はそれぞれの会社で推奨されているCADソフトを使用しています。
一方で、設備設計の現場では他の企業の人と同じ図面データを共有しながらやり取りを行う場合があります。このとき、相手側が使用しているCADソフトと自分が使用しているCADソフトとの間に互換性がなければすぐに設計図のやり取りを行えず業務の妨げになってしまいます。
そこで、他のCADソフトと互換性の高いTfasであれば、相手の図面データを共有し編集することも可能です。このように設備設計に特化したCADソフトでありながら、他のCADソフトとの互換性が高いのは業務を行うにあたって役に立つ場面も多いかもしれません。
もちろん、全てのCADソフトと互換性があるわけではないため、過信しすぎないのも重要です。
ニッチな分野に強い人材になれる
Tfasを扱えるようになると転職活動の際にも、他の転職希望者から一歩抜きんでることが出来ます。建築業界の設計士と言ってもいくつかの種類があり、それぞれ担当する分野は異なります。
機能的な部分よりも造形美を重視して建物の外観や内観のデザインを設計する「意匠設計」。地形や使用する素材などを考慮して建物の安全面を第一に設計する「構造設計」。そして建物内の水回りや電気といったインフラ設備を設計する「設備設計」です。
この中でも人気なのは多くの人を魅了するデザインを設計する意匠設計です。建物のデザインを設計する設計士と聞けば、皆さんも華やかなイメージを想像するかもしれません。
一方、地味で裏方のイメージが強い構造設計や設備設計は、一般的な知名度や人気も低い傾向にあります。
そのため、設備設計を行う設計士は業界内でも人手不足と言われており、知識とノウハウを兼ね備えた人材の需要は高いでしょう。そして、設備設計に特化したTfasを操れるとなると、他の転職希望者との差別化が図れます。
建築業界の未経験者であれば、誰もが持っているようなスキルを修得中な人より、ニッチでありながらも一定の需要があるスキルを持っている方が評価されるかもしれません。
逆に建築業界の経験者であっても、汎用的なスキルにプラスして、特化したスキルを持っていると、より自分の市場価値を上げることができるでしょう。
就職後一定の実務経験を積み、設備設計に関して知識と実績を手に入れれば、業界内でも高い市場価値を誇る人材も目指せます。
空調衛生設備や電気設備の作図に適した3DCAD
Tfasは、空調衛生設備や電気設備の作図に適した3DCADソフトです。
複雑に入り組んだダクトや配管、配線などもできるだけ簡単に作図できるような機能が搭載されています。
設備の現場では使えることが前提となっていることも多いため、設備の分野を希望している方は使い方をしっかり覚えておきましょう。