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コンクリート造に関わるスターラップ筋とは!?種類を知ろう

スターラップ筋とは、コンクリート造に関係する筋の種類です。
主に、建物の強度を高める目的で使用されます。
構造設計を行わない限り細かい計算方法は知らなくても問題ありませんが、
概要や種類については知っておくことをおすすめします。

本記事では、スターラップ筋の概要や種類、あばら筋との違いについて解説します。

スターラップ筋とは

スターラップ筋とは、鉄筋コンクリート造の梁主筋を縦軸方向に巻くせん断補強筋です。
横方向に建物を支えている梁は、地震が発生したり長期的に荷重を受け止めたりしていると
外圧と保持しようとする力の間にせん断力が発生してしまいます。
また、一定以上のせん断力が働いてしまうと部材もしくは建築物全体が耐えられず、
破損や倒壊につながってしまいます。
これを防ぐため、建物の横方向に張り巡らされた梁にスターラップ筋を巻き付け、
せん断力に耐えられるようにしています。
スターラップ筋によるせん断補強力は鉄筋を上回ると言われており、
建物の耐震性能を高めるうえで重宝されています。
基本的にスターラップ筋として使用される鉄筋は主筋よりも細い物が選ばれます。
また、あらゆる主筋の形に対応できるようフック型や閉鎖型など様々な形のものが使用されています。

あばら筋との違い

スターラップ筋を用いる現場では、あばら筋という言葉を耳にするかもしれません。
これはスターラップ筋の別の呼び方であり、異なるのは呼び名だけです。
スターラップとは英語のstirrupのカタカナ読みであり、
乗馬の際に足を引っかける場所の鐙(あぶみ)を意味します。
海外ではスターラップ筋の形状が鐙に似ていることからこの名称が用いられており、
日本ではあばら骨に見立ててあばら筋と呼ばれています。
実際の現場でもスターラップとあばら筋どちらの名前も使われますので、
建設業界で働きたい方は覚えておきましょう。

フープ筋(帯筋)との違い

スターラップ筋を耳にしたことがある方ならば、フープ筋という言葉も聞いたことがあるかもしれません。
フープ筋とは、柱として使用されている鉄筋の周りを囲うせん断補強筋です。
スターラップ筋が横方向の梁に用いられるせん断補強筋なのに対し、
フープ筋は縦方向の柱に用いられるせん断補強筋という違いがあります。
また、形状についてもスターラップ筋と同じような形をしており、
柱の断面によって四角形や台形など適した形のフープ筋を用います。
つまり、フープ筋や用いられる箇所が異なるだけで、使用目的やその働きもスターラップ筋と同様です。
スターラップ筋があばら筋という呼び方をされるように、フープ筋も帯筋と呼ばれる場合があります。
現場によって異なる呼び方をされるため、どちらも覚えておきましょう。

スターラップ筋の役割

スターラップ筋は、主に以下の2つに分けられます。

せん断破裂の防止

せん断破裂は、「挟み切られて壊れる」ことを指します。
先述したように、地震が起こった際などには建築物に横方向の力が加わります。
この力が建築物の耐久力を超えてしまうと、たとえコンクリートや鉄筋であっても挟み切られてしまいます。
このせん断破裂を防止するため、スターラップ筋が配筋されているのです。

主筋の拘束

スターラップ筋は、梁の主筋部分を拘束して「座屈」を防止する働きも担っています。
座屈とは、建物に一定以上の荷重を加えた際に発生する大きな変形を指します。
長い躯体は引っ張り力よりも圧縮力に弱く、外部からの力で折れ曲がる可能性があります。
一度座屈が発生し、建築物を支える部材が変形してくると耐久度を著しく失ってしまい、
本来なら耐えられる圧力でも破損につながるかもしれません。
これを防ぐために、主筋にスターラップ筋を巻きます。
梁の開孔部などはスターラップ筋が巻けないため無筋状態となってしまい、座屈が発生しやすい状態です。
これを防ぐため、開孔部分に「S筋」と呼ばれるせん断補強筋を配筋するケースもあります。

スターラップ筋の種類

スターラップ筋は、大きく分けて「閉鎖型」と「U字型」に分けられます。

閉鎖型

鉄筋を3ヵ所曲げてフック部を主筋にかけるタイプと一筆曲げで端部同士を溶接するタイプの2種類があります。

U字型

フック部分を上端筋にかけるタイプです。
解放上部にキャップタイをかけるタイプもあります。
一般的にU字型のものが使われることが多いです。

あばら筋比とは

あばら筋比

基本的にスターラップ筋の数を増やすと、その分建築物の耐久性・耐震性は向上します。
しかし、強度を上げる目的でむやみにスターラップ筋をまいてしまうと、
鉄筋とコンクリートのバランスが崩れてしまう恐れがあります。
そこで、スターラップ筋を配筋する上で重要になってくるのが「あばら筋比」です。
そのため、適切なスターラップ筋の比率を計算しておかなくてはいけません。

あばら筋比の計算方法

あばら筋比は、梁幅に対する鉄筋量の比率を計算します。
RCの計算基準で0.2%以上に定められており、梁幅が大きくなればそれだけ
スターラップ筋の配筋量も増えます。
スターラップ筋は等間隔で配筋されるため、
「梁幅×ピッチ」で単位面積あたりの鉄筋量の比率を導き出しましょう。
さらに、梁の長手方向の断面にかかる2ヵ所が断面積です。
計算式をまとめると「(あばら筋断面積)/(梁幅×あばら筋ピッチ)」となります。

せん断破裂の防止のために用いられる

スターラップ筋があることにより、強度の確保とせん断破裂を防止することに繋がります。
スターラップ筋とあばら筋と2つの呼び方がありますが、実際の現場ではどちらの名前も使われますので
建設業界で働きたい方は覚えておきましょう。