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建設会社のランク付けに関わる経営事項審査。何のために必要!?

建設会社にはランクがあることをご存知でしょうか。
ランク付けは主に経営事項審査によって行われます。
ではこのランク付けは、何のために行われているのでしょうか。

本記事は、建設会社のランク付けの概要やランク付けに関わる経営事項調査、行政ごとのランク付けをご紹介します。

建設会社のランク付けとは

建設会社のランク付けとは、公共工事を発注する官公庁などが、建設会社をランク付けしたものです。
ランクは、売上、利益、資本力、技術力などで決定されます。
官公庁によって区分方法が異なり、たとえば、国土交通省ではA~Dの4段階で区分されています。
一般的には、Aランクは7億2,000万円以上、Bランクは7億2,000万円まで、Cランクは3億円まで、Dランクは6,000万円までの工事が受注できるとされます。

原則として格付けされた工事しか受注することができません。
これはたとえば、年間売上が1億円のDランクの会社は10億円の工事は行うことはできないでしょう。
小規模な工事はCやD、大規模な工事の場合はAやBに頼むなど、分かりやすいようにランク付けがあります。

経営事項審査によるランク付け

経営事項審査は、公共事業を請け負いたい企業は、必ず受けなくてはならないとされる審査のことです。
公共工事の発注機関は、競争入札に参加を表明した建設業者の資格審査を行います。
この資格審査では、まずは欠落審査に該当しないかを確認し、その後で「客観的事項」と「発注者別評価」の審査をします。
その結果を点数化し、格付けが行われます。
このうち「客観的事項」に該当するのが「経営事項審査」になります。

経営事項審査では以下の点を数値化することで評価されます。

  • 経営状況
  • 経営規模
  • 技術力
  • その他の審査項目(社会性など)

算出方法

経営事項審査の評点は4つの要素によって算出されるとしています。
ここでは、X1〜Z評点の詳細についてご紹介します。

経営状況分析(Y点)
Y点は、経営状況分析に関わる点数を指します。
点数を上げるには会社の経営状況が影響するため、財務の健全化を必要とします。
たとえば以下の方法などがあります。

  • 負債を減らす(借入金を返済するなど)
  • 固定資産を減らす(リースの活用など)
  • 資本金を増加させる(増資など)
  • 完成工事原価を圧縮し、完成工事純利益を増加させる など

経営規模(X1・X2点)
X点には、X1とX2があります。
X1が「工事種類別年間平均完成工事高 」、X2が「自己資本額」と「利払前税引前償却前利益」を表します。
点数を上げるには、短期的な施策は打ちづらい項目のため、長期的な面で見る必要があるとされています。

X点を上げるには以下のような方法があります。

  • なるべく利益率の高い工事を受注する
  • 工事進行基準を採用し、完成工事高を計上する
  • 完成工事高の業種間振替を活用する
  • 借入をせずに設備投資を行い、減価償却実施率を大きくする

技術力(Z点)
Z点は、会社の技術力が評価される項目です。
こちらもすぐに効果のある施策が打ちにくい項目ですので、点数を上げるには長期的に取り組む必要があります。

Z点を上げるには以下のような方法があります。

  • 監理技術者講習や基幹技術者講習の受講
  • 技術職員の適切な振り分け
  • 社員の資格取得を推奨 など

その他審査項目(W点)
上記の項目以外の部分です。
審査項目が多いのが特徴で、すべての申請業種に共通するため、点数を上げるために取り組みたい部分とされています。

Z点を上げるには以下のような方法があります。

  • 加点となる社会保険制度に加入する
  • 防災協定を締結する
  • 公認会計士・税理士などの有資格者を採用する など

対象となる工事

経営事項審査を受けなければ、直接請け負うことのできない工事は、以下の発注者が発注する工事です。

  1. 地方公共団体
  2. 法人税別表第一に掲げられる公共法人(地方公共団体は除く)
  3. 上記に準ずるものとして国土交通省令で定められた法人

また1件の請負代金額が500万円以上(建築一式工事の場合は1,500万円以上)の工事が対象です。

出典:国土交通省「経営事項審査について

行政ごとのランク付け

建設会社と行政

建設会社のランクは、行政ごとにランクが違うとされています。
これは、国と市町村では発注する工事の規模に違いがあるためです。
基本的には経営事項審査の点数によってランクが決まります。
さらにそこから格付けをするには、国土交通省では今までどのくらい実績があったのかなどの点数を加味するとされています。

その会社の規模にあった適切な工事を行ったり、地元をある程度優先させたりなどの理由もあげられています。

建設会社のランク付けについて知っておこう

建設会社のランク付けは、会社の規模にあった工事を発注するために行われる制度です。
ランクによって受注できる工事金額が決まっており、Aはスーパーゼネコンなどの大手が多いです。
このランクによって受注できる工事金額が異なるので、知っておきましょう。