多くの工事で欠かせないセメントですが、セメントにも種類が多くあります。
種類ごとに原料も異なりますが、クリンカーは原料の一種です。
本記事では、クリンカーの概要やセメントの種類、セメントができるまでの流れをご紹介します。
クリンカーとは
クリンカーとは、セメントの原料の一種です。
セメントクリンカーとも呼ばれており、鉱物などが焼き固まったものを指します。
クリンカーの原料は、石灰石と粘土、珪石、酸化鉄原料などです。
石灰石は日本各地に鉱山がありますが、現在では西日本の石灰が多く使用されています。
クリンカーの焼成は、セメント製造の中心的な工程とされています。
日本のセメント工場では、焼成効率向上のため粉体原料を直接、ロータリーキルン(回転窯)に入れず
プレヒータを通過させてから送り込む方式が使われています。
ロータリーキルンでは1,450℃の高温で焼成され、クリンカーが完成します。
焼成用の熱エネルギー源として使われる石灰や廃棄物などもクリンカーに取り込まれるため、
二次廃棄物は生じないとされています。
その後、クリンカーは冷却機に入れて急冷されます。
クリンカーを冷却するために熱くなった空気は
ロータリーキルンや仮焼炉で利用されるため無駄になりません。
セメントの種類
セメントは大別して「ポルトランドセメント」「混合セメント」「特殊セメント」の3つがあります。
一般的にセメントというときは、ポルトランドセメントを指すことが多いです。
またJISに規定されているセメントと、その他のセメントに分けることもできます。
JISに規定されているセメント
1.ポルトランドセメント
- 普通ポルトランドセメント
- 早強ポルトランドセメント
- 超早強ポルトランドセメント
- 中庸熱ポルトランドセメント
- 低熱ポルトランドセメント
- 耐硫酸塩ポルトランドセメント
2.混合セメント
- 高炉セメント(A、B、C種)
- フライアッシュセメント(A、B、C種)
- シリカセメント(A、B、C種)
3.特殊セメント
エコセメント
その他のセメント
- ポルトランドセメントをベースにしたセメント
- ポルトランドセメントの成分や粒度の構成を変えたセメント
- ポルトランドセメントとは異なる成分のセメント
セメントができるまでの流れ

ここでは、クリンカーからセメントができるまでの一般的な流れをご紹介します。
1.石こうを加える
セメントに石こうを加え、固まる速さを調整します。
石こうは、火力発電所の排煙脱硫によって発生する「排脱石こう」や
化学工業から発生する「副産石こう」が使用されており、有効活用されています。
2.クリンカーを粉砕する
仕上げ粉砕機でクリンカーを粉砕します。
粉砕機には、クリンカー、石こう、鋼鉄製もしくは鋳鉄製のボールを入れます。
粉砕機は円筒形のドラムになっており、原料とボールがぶつかり合うことによって粉砕されます。
その後、セパレーターで目の粗い粉と細かい粉に分け、粗いものは再度粉砕機に入れます。
3.仕上げ
セメントが細かな粉末状になったら、コマの細かさを測定します。
原料の受け入れ段階でも品質測定を行いますが、完成前にも測定し品質の確認を行います。
完成したセメントは、セメントサイロに入れて保管されます。
その後、セメント輸送用のパルクセメント車や専用船、貨車などで
ユーザーや全国各地にあるサービスステーションまで輸送されます。
セメントができる流れを知っておこう
クリンカーはセメントを作るのに欠かせない材料です。
クリンカーをもう一度砕き、石こうと混ぜることでセメントが完成します。
またセメントにも種類があり、JIS規格のものとその他のセメントがあることを知っておきましょう。