橋やトンネルなどの構造物には、静止してしますが、さまざまな力が作用しています。
本記事では、インフラ施設に使用されることの多い構造物「はり」の仕組み、構造物に作用する力である「荷重」などについてご紹介します。
力のつり合いとはりの仕組み
静止している構造物は、「つり合いの状態」にあると考えられています。
これは、構造物に作用している力とモーメントの合計が0となっている状態です。
水平方向の力と垂直方向の力、各力によるモーメントの合計が0になっていることです。
つり合いの状態を起こすための条件は、「力のつり合いの3条件」と呼ばれます。
つり合いの条件を用いれば、構造物内部の力が分かります。
はりの仕組みと応力
はり(梁)の中でも最も単純な構造のものは、単純ばりと呼ばれています。
これは、1本の棒を2つの支点で支え、丸太を両岸にかけて渡した丸木橋などが挙げられます。
単純ばりの支点は、一方が回転支点になり、他は可動支点となります。
回転支点は、回転は可能ですが、水平方向や水力方向への移動は制限されてしまいます。
可動支点は、回転ができて垂直方向の移動は拘束されていますが、水平方向のへの移動は可能です。
単純ばりの橋においては、一般的に、一方の支点は可動支点となります。
片方の支点を移動させれば、温度などによってはりが伸び縮みしても水平方向の移動は吸収されるのです。
さらに、はりの応力には軸力・せん断力・曲げモーメントがあります。
軸力とは、はりの軸方向にはりを圧縮したり引っ張ったりする力を指します。
単純ばりでは温度による伸び縮みで軸力は発生しませんが、両方を回転支点にすれば発生します。
せん断力は、はりをせん断する力です。
はりに作用している荷重を支点まで伝える間、はりにははりを断ち切ろうとする力が発生してしまいます。
たとえば、ハサミを使って紙を切ろうとする際、ハサミの両刃が紙に作用する力がせん断力となります。
切断しようとしている紙に、上下から両刃を押し込むことで、その部分にせん断力が発生します。
曲げモーメントは、荷重がはりを凸型に湾曲させようとする力で、はりの全長にわたって発生します。
上から荷重が作用する場合は、はりは凸の形になります。
そして、はりの内部では上部が圧縮、下部に引っ張りの応力が発生します。
構造物に作用する力「荷重」
「荷重」は、構造物に作用する力です。
たとえば、橋を通行する自動車や列車、地震、積雪した雪などが挙げられます。
荷重の作用の仕方から以下の3つに分けられます。
集中荷重
集中荷重は、自動車や列車のように路面や線路と点で接して作用する荷重を指します。
単位はkN、Nで表現されます。
等分布荷重
等分布荷重はある長さのものに同じ大きさの荷重が連続して作用したものです。
たとえば、路面全体に積もった雪の荷重などは、等分布荷重に分類されます。
積もった雪のように、同じ大きさのものが連続して作用することです。
単位は長さ当たりの力となるため、kN/m、N/mなどになります。
等変分布荷重
等変分布荷重は、等分布荷重の大きさが徐々に変化したものです。
たとえば、貯水池などの周りの壁面に作用している水圧は
深くなるごとに圧力が増加するため、変分布荷重となります。
構造物に働く力について知ろう
橋やトンネルなどの構造物には、さまざまな力が作用しています。
この力のつり合いが取れていることで、構造物は静止しているのです。
また、構造物に作用している荷重には作用の仕方から
集中荷重、等分布荷重、等変分布荷重に分類されることを知っておきましょう。