VR・ARとBIMの融合は、建設業界において、大きな可能性を秘めていると考えられています。
では具体的に、連携することで何が可能になるのでしょうか。
本記事ではBIMと連携する技術として、VRやARについてご紹介します。
BIMとVR(バーチャルリアリティー)の連携
VR(Virtual Reality)は、仮想現実を実現する技術です。
VRを利用することで、ユーザーは現実世界とは異なる仮想空間を体験することができます。
設計段階では、VRを利用することでユーザーが建物の内部を自由に歩きまわったり、設備を確認したりすることが可能です。
これによりユーザーは、建物のイメージをより具体的に理解することができます。
また、人や車、樹木などの動きや車のエンジン音などの音楽を加えることで、より臨場感あふれる現場を目にすることが可能になるでしょう。
幅広い用途で用いられる
VRは、以下のようなさまざまな用途での活用が期待されています。
- 建物のスケール感の確認
- まちづくり計画などの合意形成
- コンペの応募、審査
サイズや景観の分かりやすさなどから、まちづくり計画の説明会でもユーザーの理解度が高まり、合意形成が素早くできるようになるでしょう。
また、コンペなどで作品をさまざまな角度で見られることにより、資料だけでは分からなかった設計の問題点などが分かりやすくなります。
立体的に見ることも可能
VRゴーグルや3Dテレビ、3Dメガネを使用することで、VR映像をより立体的に見ることが可能です。
また、奥行きや高さ、圧迫感などをリアルに体感できるとしています。
さらに、3D映像を実物大で投影できるシステムも用いられています。
BIMとAR(拡張現実)の連携
AR(Augmented Reality)は、現実世界に仮想情報を重ねて表示する技術です。
ARを利用することで、ユーザーは現実世界を見ながら、仮想情報を確認することができます。
視点を変えれば、現実の空間とBIMモデルを連動させて動かせます。
ARは、スマートフォンやタブレット、ARゴーグルなどを使用して見ることができます。
現実空間と仮想モデルは、ターゲットと呼ばれる目印でつながっています。
現実空間とBIMモデルに同じターゲットを置き、AR画面でターゲットが重なるよう画像を合成します。
そうすることで、現実空間とBIMモデルを連動させることが可能になるでしょう。
設計から維持管理まで活用できる
ARは幅広い分野での活用が期待されています。
設計段階では、たとえばテーブルの上などにターゲットを置くことで、模型代わりに使うことも可能です。
BIMソフトを操作せず、ターゲットとなる紙を動かせばよいため、ユーザーは建物の設計やデザインを分かりやすく確認できます。
施工段階ではARを利用することで、施工員は仮想空間上で建物の構造を確認したり、設備の配置を確認したりすることができます。
これにより、施工ミスの防止や工期の短縮につながるでしょう。
メンテナンス段階ではARを利用することで、メンテナンス員は仮想空間上で建物の劣化状況を確認したり、修繕箇所を特定したりすることができます。
たとえば、地中のガス管や水道管などのBIMモデルをつくり、それをターゲットの代わりにGPSなどの位置情報を確認すれば、まるで地中を透視しているかのようにガス管などの位置が確認可能です。
これにより、メンテナンスの効率化や安全性の向上につながります。
今後もVRやARは建設業界に浸透していく
VR・ARとBIMの融合は、建設業界の未来を大きく変える可能性を秘めています。
設計・施工・維持管理など、さまざまな分野での応用が期待されているため、今後もさまざまなサービスが登場することが予想されています。