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建設業界の構造とゼネコンの立ち位置。問題点と解決策を考えよう

建設業界は日本の基幹産業であり、人々の生活や社会を支える重要な役割を担っています。
しかし、近年では人手不足や長時間労働などの課題が深刻化しており、業界全体の構造改革が求められています。

本記事では、建設業界の構造とゼネコンの立ち位置、役割、問題点などをご紹介します。

建設業界の基本は多重下請構造(ピラミッド構造)

建設業界は元請企業を頂点とした、下請企業による重層構造である「多重下請構造」といわれています。
元請企業が工事全体の総合的な管理監督を行う一方で、専門的な技術や労力を必要とする工種を下請企業に委託することにより、効率的な工事運営を実現するものです。

ゼネコンの立ち位置/役割

多重下請構造の中で、ゼネコンは元請企業として工事全体の総合的な管理監督を行う役割を担っています。
具体的には、以下の役割などが挙げられます。

  • 発注者との契約締結
  • 工事計画の策定
  • 下請企業の選定/管理
  • 工事の工程管理/安全管理
  • 工事完成後の検査/引き渡し

ゼネコンはこれらの役割を担うことで、工事の品質・安全性の確保、工期・コストの管理、発注者への納品といった重要な役割を果たしています。

ゼネコンの問題

多重下請構造には、責任や役割の不明確化、下請企業の利益減少などの問題もあります。
また、ゼネコンは下請企業から工事を受注する際、下請企業の利益を十分に考慮しない可能性もあります。
そのため、下請企業の利益が減少し、労働環境の悪化につながる恐れも考えられます。
さらに、多重下請構造が複雑化すると発注者や元請企業による管理が困難になります。
従って、工事の品質や安全性が確保されにくくなる可能性があります。

そのため、ゼネコンは下請企業への適切な発注や下請企業の技術力や経営力の向上に努めるなど、多重下請構造の課題解決にも取り組んでいます。
ゼネコンは建設業界の基幹を担う存在であり、これらの取り組みを通じて多重下請構造の課題解決に貢献することが求められています。

出典:国土交通省「最近の建設業を巡る状況について

地方を中心に進むダイヤモンド構造

近年では、地方を中心に元請企業と下請企業が直接取引を行う「ダイヤモンド構造」が進んでいます。
地方では、人口減少や少子高齢化などの影響で、建設需要が減少しています。
そのため、末端になるにつれ事業継続が困難になり、結果的に中規模の企業だけが多く残る構造に変わりつつあるようです。

ダイヤモンド構造となっている地域は、適切な建設事業者による施工が困難になる可能性もあります。
事業者が必要なタイミングで建設やメンテナンスができなくなる恐れがあるのです。
また、非稼働時間が増加することで、収益の機会損失にもつながるでしょう。
事業収益に応じた収入が見込める事業者は、より深刻な問題となり得ます。

ゼネコンの立ち位置

ダイヤモンド構造におけるゼネコンの立ち位置は、従来のピラミッド構造とは大きく異なります。
従来のピラミッド構造では、ゼネコンは元請企業として下請企業の選定・管理を行い、工事全体の総合的な管理監督を行う役割を担っていました。

一方、ダイヤモンド構造では、ゼネコンは元請企業として、下請企業と直接取引を行うことで、工事全体の責任を担うことになります。
そのため、ゼネコンは下請企業の技術力や経営力を十分に把握し、適切な発注を行うことが求められます。
ダイヤモンド構造では、ゼネコンは従来よりも大きな責任を負うことになります。
その一方で、下請企業の技術力や経営力の向上を支援することで、建設業界の持続的な発展に貢献することができるというメリットが考えられます。

出典:国土交通省「最近の建設業を巡る状況について

建設業界の競争

施工管理職のスタッフ

建設業界の競争は、近年激化の一途を辿っています。
その背景には、以下のような要因が挙げられます。

技術革新の進展

ICTやロボットなどの技術革新が進展したことで、建設業の生産性向上やコスト削減が進み、競争が激化しています。

人手不足

建設業界は、人手不足が深刻な業界であり、優秀な人材の確保が困難になっています。
そのため、人材を獲得するための競争があるとされています。

建設業界の競争は、業界の活性化と技術革新につながる一方で、下請企業の利益減少や労働環境の悪化などの問題も引き起こしています。
国や業界全体の取り組みにより、建設業界の競争が健全な方向に発展していくことが期待されます。

出典:国土交通省「最近の建設業を巡る状況について

建設業界の構造とゼネコンの立ち位置について理解しましょう

建設業界は、多重下請構造を基本としたピラミッド構造を特徴としています。
この構造には、効率的な工事運営を実現するメリットがある一方で、責任や役割の不明確化、下請企業の利益減少などのデメリットもあります。
ゼネコンは、建設業界の基幹を担う存在であり、多重下請構造の改善にも積極的に取り組んでいます。
今後も、建設業界の健全な発展のために重要な役割を果たすことが期待されています。