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コンクリートはセメント・骨材・混和材・水で成り立つ!それぞれの特徴を解説

コンクリートは、セメント・骨材・混和材・水を混ぜ合わせて作られる建設材料です。
それぞれの材料には、コンクリートの強度や耐久性、施工性などに影響を与える重要な役割があります。

本記事では、コンクリートの材料(セメント・骨材・混和材・水)についてご紹介します。

セメントの種類

セメントは、コンクリートの骨格となる材料です。
水と混ぜ合わせると化学反応を起こし、固化・硬化する性質があります。
セメントの種類は、大きく分けて以下の4つに分けられます。

ポルトランドセメント

最も一般的なセメントといわれています。
石灰石と粘土を高温で焼成して、クリンカを生成し、これに石灰石粉末を混合して作られます。
主に、以下の種類があります。

普通ポルトランドセメント
最も一般的なセメントで、幅広い工事で使用されています。

早強ポルトランドセメント
通常のポルトランドセメントよりも早く固化するのが特徴です。
緊急工事や寒冷期など、早く強度が欲しい場合に使用されることが多いです。

中庸熱ポルトランドセメント
普通ポルトランドセメントよりも熱発生量が少ないのが特徴です。
長期強度に優れ、乾燥収縮が小さいなどの特徴があり、ダムや大規模な橋脚工事などで使用されます。

耐硫酸塩ポルトランドセメント
硫酸塩に強く、護岸工事や温泉地付近、化学工場で行われる工事等に使用されます。

混合セメント

ポルトランドセメントに他の材料を混ぜて作られます。
混合材料には、砂利、フライアッシュ、石灰石粉末などがあります。
主に以下の種類があります。

高炉セメント
普通ポルトランドセメントのクリンカ、石膏のほか、製鉄所の溶鉱炉(高炉)から副生する高炉スラグの微粉末を混合して製造されます。

シリカセメント
ポルトランドセメントに可溶性シリカ(二酸化ケイ素)分の多い白土、火山灰等のシリカ質混合材を添加して作られます。
シリカ質混合材は、二酸化ケイ素(SiO2)を60%以上含むポゾラン反応しやすい物質を指します。

フライアッシュセメント
ポルトランドセメントにフライアッシュを混合して製造されます。
フライアッシュは、火力発電所の燃焼排ガスから回収される微細な石炭灰です。
セメントの水和反応を促進する働きがあり、強度などを向上させることができます。
乾燥収縮が小さく、水和熱が小さいなどの特徴があります。

エコセメント

環境に配慮したものを指します。
従来のセメント製造には、天然資源を大量に使用し、CO2を排出するなどの環境負荷がありました。
エコセメントは、これらの環境負荷を軽減するために開発されたセメントです。

その他

特殊な用途のために開発された以下のようなセメントもあります。

アルミナセメント
ボーキサイトと石灰石を原料とし、耐熱性、耐食性に優れています。
ただし、水セメント比が大きくなると、強度が低下する可能性があります。

膨張セメント
ポルトランドセメントに膨張剤を混合したものです。
膨張剤は、水と反応して膨張する性質を持つ材料です。
膨張剤の膨張により、コンクリートの収縮を相対的に低減し、ひび割れを防止します。
また、膨張により内部に応力が生じて強度が向上します。

超速硬セメント
通常のセメントに比べて非常に速く硬化するとされます。
硬化速度が速いものの、通常のセメントと同等の耐久性があります。
緊急工事や劣化対策などに用いられます。

グラウト用セメント
コンクリートの空隙を充填するために使用されます。
充填することで、コンクリートの強度や耐久性の向上が期待できます。

セメントの特性

ここでは、セメントの特性についてご紹介します。

セメントの原料と製造工程

セメントの原料は、石灰石・粘土・けい石などとされています。

石灰石
セメントの主要成分である炭酸カルシウムの主な供給源です。
石灰石は、地中深くに埋もれたサンゴや貝殻などの化石が長い年月をかけて固化したものです。

粘土
シリカとアルミナを主成分とする鉱物で、地表の土壌に多く含まれています。

けい石
石灰石と似た性質を持つ鉱物です。
地中深くに埋もれた火山灰が、長い年月をかけて固化したものです。

セメントの製造工程は、以下の3つの工程に分けられます。

1、原料の調合
石灰石、粘土、けい石を適切な割合で混合して、粉砕します。

2、焼成
混合した原料を、1,450℃の高温で焼成します。
焼成により原料中の炭酸カルシウムやシリカが化学反応を起こし、セメントの原料となるクリンカが生成されます。

3、仕上げ
焼成されたクリンカを細かく粉砕して、セメントにします。
品質確認後、トラックや船などで運ばれます。

セメントの物理的特性

セメントの物理的特性は、水和反応や凝固、硬化速度などに関わっているとされ、製造工程や原料の種類などで異なります。
セメントの製造工程において、原料の配合や焼成温度を調整することで、セメントの物理的特性を改善できるといわれています。

密度
密度はセメントの質量と体積の比率で表され、セメントの種類や粒径によって異なります。
密度が高いほど、コンクリートの強度が高くなります。

粉末度
セメントの粉末度は、セメントの粒径の分布を表す指標です。
セメントの粉末度は、JIS R 5201(セメントの物理試験方法)において、ブレーン空気透過法による比表面積試験と標準網ふるいを用いた網ふるい試験とが規定されています。
セメントの粉末度が高いほど、水和反応が早く進行し、強度の発現が早くなるとされています。

骨材の種類

骨材

骨材は、コンクリートなどの材料に混ぜ合わせる砂利や砂などの総称です。
骨材は、粒径によって以下の2種類に分けられます。

粗骨材
粒径が5mm以上のものを指します。
コンクリートの骨格となる部分を構成します。

細骨材
粒径が5mm以下のものを指します。
セメントと粗骨材を充填する部分を構成します。
また、以下の2種類にも分けられます。

天然骨材

山や川などの自然界から採取される骨材です。
地質や環境によってさまざまな種類があり、それぞれに異なる特性があります。

川砂利
川底やダム底から採取される骨材です。
粒径が比較的揃っており、洗浄も必要ないことが多いため、天然骨材の中では良質とされます。

山砂利
山や砂礫層から採取される骨材で、塩分や鉱物、粘土質などを含むことがあります。

人工骨材

原料を人工的に加工して作られます。
天然骨材の不足を補うために、近年注目を集めています。
砕石、砕砂、人工軽量骨材などがあります。
人工軽量骨材は膨張頁岩、膨張粘土、膨張スレート、フライアッシュなどを主原料として、人工的に焼成・発泡して作られます。
軽量で断熱性に優れているとされます。
軽量コンクリート、断熱コンクリート、舗装材など、さまざまな用途に使用されます。

骨材の特性

以下のようなものが挙げられます。

耐久性
骨材が劣化や損傷に抵抗する能力のことです。
コンクリートの耐久性に大きく影響を与えるとされます。
一般的に、天然骨材は、人工骨材に比べて耐久性に劣る傾向があります。

吸水率
吸水率とは、骨材が水分を吸収する割合のことで、コンクリートの流動性に影響を与えるとされます。
骨材の吸水率が高いと、流動性が低下します。
これは骨材が水分を吸収することで、コンクリートの中にある水分量が減少するためです。
コンクリートの流動性が低下するとコンクリートの打設や仕上げが難しくなり、品質が低下する可能性があります。
骨材の吸水率を低下させるため、骨材の洗浄をしたり乾燥をさせたりなどの対策がとられます。

「混和材」「混和剤」の違いと水

「混和材」と「混和剤」は、どちらもコンクリートの性質を改善するために用いられます。
この2つは、使用量によって区別されます。
少量で効果を発揮させたい場合は混和剤、混和剤と比較して多量に使用するものが混和材です。

混和材

混和材は、練混ぜあるいは打込みを行う前までに加える材料です。
使用量は、コンクリート全体の体積の10%~30%ほどといわれています。

混和剤

混和材と使用用途は同じですが、使用量が少量で効果を示すものを指します。
使用量は種類ごとに異なりますが、数%ほどとされています。

コンクリートに練り混ぜる水

水は、セメントと骨材を接合させてコンクリートを形成するために不可欠です。
水の品質は、コンクリートの品質に影響を及ぼすため、注意が必要です。
水には、以下の要件が必要とされています。

清潔であること
水に汚染物質が含まれていると、コンクリート作りに悪影響を及ぼすとされます。

温度が適切であること
水の温度が低すぎると、コンクリートの硬化が遅れる可能性があります。

JISでは、「レディーミクストコンクリート」の練り混ぜに使用される水として「練り混ぜ水」の品質を規定しています。

コンクリートにはさまざまな特性がある

コンクリートは、セメント・骨材・混和材・水の4つの材料から成り立つ建築材料です。
それぞれの材料の特徴を理解することで、コンクリートの特性をより深く理解することができるでしょう。