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施工管理職なら知っておきたい熱絶縁工事について紹介!

熱絶縁工事は、建設業許可が必要な29種類の工事の内のひとつです。
工作物、または工作物の設備を熱絶縁するための工事を指します。
具体的には、冷暖房設備、冷凍冷蔵設備などの設備です。
本記事では、施工管理職なら知っておきたい熱絶縁工事についてご紹介します。

熱絶縁工事とは

熱絶縁工事とは、ビルや商業施設の暖房設備や冷凍冷蔵設備、動力設備などの機械や配管に対して、目的に合わせて保温・保冷工事を行うことです。
さらに分かりやすくいうと、さまざまな機械や空調、衛生設備などの配管やダクト等に、断熱材や板金などの外装材を巻き、熱の拡散を防ぐための工事です。
熱絶縁工事を行うことで、熱エネルギーを効率よく使用できるようになります。
しっかり保温や断熱を行うことは、空調設備の故障や、破裂を防ぎます。

出典:国土交通省(業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方(H29.11.10改正))

熱絶縁工事の種類

熱絶縁工事の種類

熱絶縁工事は主に以下の種類があります。

  • 保温工事
    主に0~1,000度以下の配管やダクト、機器などの保温材を取り付ける工事です。
    温度変化を減らすことで、結露、凍結、熱吸収を防ぐ目的で行われます。
    ガラス繊維が使われたグラスウールなどが使われます。
  • 保冷工事
    冷凍冷蔵設備の冷媒管や流体配管、超低温設備などに保冷材を取り付ける工事です。
    ポリスチレンフォーム、ウレタンフォーム、独立気泡ゴムなどが使用されます。
  • 耐火工事
    ビルやテナント、一般家屋などの排煙ダクトや厨房排気ダクトなどに、
    耐火被覆材を取り付ける工事です。
    火災時に排煙ダクトから火災を広げないためや、火災から守るために行われます。
    耐火性のあるロックウールなどが使用されます。
  • 板金工事
    熱絶縁を施したものに板金処理を行う工事です。
    保温・保冷性能の維持や耐食性、耐紫外線性のために行われます。
    カラー亜鉛鉄板、ガルバリウム鋼鈑、アルミニウム板などが使用されます。
  • 防音工事
    排水管やコンプレッサー、消音ダクトなどを遮音するために行う工事です。
    吸音材を取り付け、さらに遮音材で被覆することで、より防音効果を高められます。
    グラスウール、ロックウール、鉛シート、遮音系シートなどが使用されます。
  • 断熱工事
    配管や機器などに断熱材や板金材を取り付ける工事です。

熱絶縁工事の建設業許可

熱絶縁工事業を行う際、一定以上の規模を超えると建設業許可を受ける必要があります。
建設業許可とは、工事の種類(民間・公共)を問わず工事を請け負う際に必要となる許可のことです。
建設業許可を出すのは、国土交通大臣もしくは都道府県知事で営業所を設ける都道府県の数によって異なります。

ただし、「軽微な建設工事」については建設業許可が必要ないとされており、そのルールは熱絶縁工事でも適用されます。

1、建築一式工事については、工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事、または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事

  • 「木造」…建築基準法第2条第5号に定める主要構造部が木造であるもの
  • 「住宅」…住宅、共同住宅及び店舗等との併用住宅で、延べ面積が2分の1以上を居住の用に供するもの

2、建築一式工事以外の建設工事については、工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事

原則、建設業者が500万円以上(税込)で請け負う場合の工事が対象です。熱絶縁工事の1件あたりの請負代金が500万円未満の場合は、建設業許可を取得しなくても工事を行えます。

また、熱絶縁工事だけでなく内装工事などの別業種の附帯工事を施工する場合、その附帯工事の請負金額が500万円を超えていても、熱絶縁工事に附帯する工事の建設許可を取る必要はありません。

出典:国土交通省「建設業の許可

熱絶縁工事の建設業許可の取得に必要なこと

新しく建設業許可を取得することは簡単ではありません。

熱絶縁工事においては、専任技術者の設置が要件に含まれているので適切な人材を確保しなければ建設業許可を得ることは難しいでしょう。

専任技術者は建築施工管理技士(仕上げ)の1級もしくは2級の所持者、もしくは一定期間以上の熱絶縁工事の実務経験者が必要です。
熱絶縁工事の技術検定を修了した人も、専任技術者として認められます。
実務経験を問われずに熱絶縁工事の専任技術者になれるのは、1級建築施工管理技士のみとなります。

また、ほかにも経営業務の管理責任の要件を満たす必要があります。
経営業務の管理責任者とは、建設業務の経営業務を総合的に管理して執行したことのある経験者のことです。

経営における管理責任なので、常勤かつ法人であればなんらかの役員であることが条件になっています。
さらに、個人事業主においては本人か支配人が対象になります。
そのうえで以下のいずれかに該当する必要があります。

  1. 建設業に関して5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者。
  2. 建設業に関して5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務を管理した経験を有する者。
  3. 建設業に関して6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者。

また、建設業許可を取得するには健康保険、厚生年金保険、雇用保険などの社会保険に適正に加入しなければなりません。
いずれも適用する事業所に該当するすべての営業所について、届け出る必要があります。

熱断熱工事の範囲

熱断熱工事には、ウレタン吹付け断熱工事が含まれることも覚えておきましょう。
ウレタン吹付け断熱工事は、高性能断熱材を使用したビルやマンションなどのRC・S構造の建物における壁面断熱の主流の工事です。

熱絶縁工事の資格

熱絶縁工事の資格

熱絶縁工事を専門とする資格のひとつに、「熱絶縁施工技能士」があります。
熱絶縁施工技能士は、熱絶縁工事に関する専門的な知識と技能があることを証明できる資格で、国家資格になります。
大規模な工事になると、熱絶縁施工技能士の設置を義務付けている場合もあります。
有資格者は、現場の専任技術者になれるというメリットがあり、高い評価を得られるでしょう。

試験内容

熱絶縁施工技能士は「保温保冷工事作業」と「吹付け硬質ウレタンフォーム断熱工事作業」の2つの区分があります。
試験は、1級と2級に分かれており、学科試験と実技試験があります。
学科試験では、熱絶縁、関係法規、安全衛生などについての問題が出題されます。
実技試験では、選択した科目に関する作業試験や判断試験などが行われます。
1級と2級どちらも、受験するためには実務経験が必要です。
そのため、ある程度経験を積んでから受験を考える必要があります。

出典:熱絶縁施工技能検定試験の試験科目及びその範囲並びにその細目

熱エネルギーを無駄なく利用するための工事

熱絶縁工事は、冷暖房設備、動力設備などの機械や配管に対して、目的に合った
保温・保冷工事を行うことです。
この工事を行うことで、熱エネルギーを効率的に利用し、故障などを防ぎます。
熱絶縁工事の専門的な資格として、国家資格の「熱絶縁施工技能士」があります。
熱絶縁施工技能士は、熱絶縁工事に関する専門的な知識があることを証明できます。
施工管理職として、工事と専門資格について覚えておくとよいでしょう。