Menu

施工体制台帳の書き方や一緒に必要となる添付書類を知っておこう!

現場では安全に作業を進めるために、あらかじめ工事内容や責任の所在、各会社間の関係などをしっかり定めておかなくてはいけません。
施工体制台帳は、そのために作成される安全書類(グリーンファイル)の一種です。
施工管理職を目指す方は、施工体制台帳の作成の目的や作成方法について知っておく必要があるでしょう。

本記事では、施工体制台帳の概要や目的、作成方法などをご紹介します。

施工体制台帳とは

施工体制台帳は、工事に関わる元請から下請業者まですべての会社の情報や関係がまとめられた安全書類(グリーンファイル)のことです。
こちらの施工体制台帳の作成は、原則は元請会社が担当します。
基本的にすべての工事で作成されますが、「作成義務」が生じるのは以下の工事です。

  • 下請契約の請負金額が4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)のすべての工事
  • すべての公共工事
【関連記事:グリーンファイルの主要な種類を紹介!グリーンサイトとの違いも知っておこう

施工体制台帳の目的

施工体制台帳の主な目的は、責任の明確化と建設業法の違反防止です。
施工体制台帳には、工事に関わるすべての会社と責任者が明記されます。
これにより施工上のトラブルが発生した場合にも、責任の所在が明確になります。
また公共工事では、社会保険加入のチェックなどにも役立ちます。

施工体制台帳と一緒に用意する添付書類

施工管理職の男性

施工体制台帳と一緒に用意する添付書類は、建設業法施行令で規定されています。

  • 発注者との契約書
  • 下請と元請の契約書それぞれのコピー
  • 元請の監理技術者や専門技術者の資格を証明する書類 など

監理技術者と監理技術者補佐、専門技術者などは資格を証明する書類に合わせて健康保険証のコピーも必要です。
健康保険証によって元請や下請との雇用関係を証明する必要があります。

施工体制台帳の書き方

施工体制台帳の記載内容や方法には決まりがあり、国土交通省が用意しているテンプレートや各自治体の指示に従う必要があります。
ここでは、基本的な書き方についてご紹介します。

左側部分の書き方

左側部分には元請業者の情報を記載します。

会社名・事業者ID
元請業者の会社名を記入します。
建設キャリアアップシステムに登録している場合には、事業者IDも記入しましょう。

事業所名・現場ID
工事を担当する事業所名を記入します。
建設キャリアアップシステムに登録している場合には、現場IDも記入しましょう。

建設業許可
元請業者が所有している建設業許可を記入します。
枠が2つ用意されているので、それぞれ「特定建設業許可」「一般建設業許可」に分けて記入しましょう。
許可業種は正式名称で書くと長いため、略称で良いとされています。

工事名称と工事内容
元請業者が担当する工事内容を記入しましょう。
工事内容部分には工種と数量などを記入します。

発注者と住所
発注者の名前と住所を記入します。

工期
工事の工期を記入します。
「自」には工事開始日、「至」には工事終了日を記入しましょう。

契約日
発注者と元請の契約日を記入します。

契約営業所
元請契約には工事請負契約書に記載されている会社名と住所、下請契約には下請負契約を締結した支店や営業所を記入しましょう。
本部に工事が発注された場合でも、各地に支店や営業所がある会社は現場に近い営業所が工事を行うケースも多くあります。
その際には、本部と支店または営業所の間で下請契約という形が取られます。
この欄は、関係性を把握するために記入する必要があります。

発注者の監督員名や権限および意見申し出方法
発注者から通知された監督員名を記入します。
発注者の権限や意見申し出方法部分には、工事請負契約書に記載されている内容を記入します。

監督員名・権限および意見申し出方法
自社に所属している監督員名を記入します。
権限や意見申し出方法部分には、下請業者との意見のやり取りについて記入しましょう。

現場代理人名・権限および意見申し出方法
自社に所属している現場代理人の名前を記入しましょう。
権限および意見申し出方法部分には、直近の上位注文者との意見のやり取りについて記入します。

監理技術者・主任技術者名
監理技術者または主任技術者の名前を記入します。

資格内容
監理技術者または主任技術者の資格を記入します。

監理技術者補佐名
監理技術者補佐の名前を記入しましょう。

資格内容
監理技術者補佐の資格を記入します。

専門技術者名と資格内容・工事担当内容
専門技術者名と資格内容、発注した専門工事の内容を記入しましょう。
専門技術者は「主任技術者」の条件を満たしていることが必要なため、資格内容欄には主任技術者の条件を記入します。

一号特定技能外国人の従事の状況
自社に一号特定技能外国人が従事している場合は、有に〇をしましょう。

外国人建設就労者の従事の状況
自社に外国人建設就労者が従事している場合や、その予定がある場合は有に〇をしましょう。

健康保険等の加入状況
健康保険加入の有無について記入しましょう。

右側部分の書き方

右側部分には、一次請負業者についての情報を記入しましょう。
各項目は左側部分とほぼ変わりません。
元請の情報を一時請負業者に変えて記入しましょう。
左側部分と違う箇所は、以下の通りです。

安全衛生責任者名
安全衛生責任者名を記入します。

安全衛生推進者名
安全衛生者推進者名を記入しましょう。

雇用管理責任者名
雇用管理責任者名を記入します。

登録基幹技能者名と種類
登録基幹技能者がいる場合は、名前と種類を記入します。

施工管理者の記載内容

施工体制台帳の主要な記載内容をまとめたので確認してみましょう。

■元請人に関する事項

  • 建設業許可
  • 建設工事の名称、内容、工期
  • 健康保険等の加入状況
  • 配置技術者の氏名、資格内容
  • 外国人技能実習生等の従事状況
  • 監督員の氏名

■一次下請人に関する事項

  • 建設業許可(担当する施工に必要なもの)
  • 下請契約した工事の名称、内容、工期
  • 健康保険等の加入状況
  • 配置技術者の氏名、資格内容
  • 外国人技能実習生等の従事状況

※出典:さいたま市建設局技術管理課「施工体制台帳の記載ガイドライン

施工体制図も作成する

施工体制台帳の作成後、施工分担を分かりやすく記載した「施工体制図」も作成しなければなりません。

建設業法によって作成と提出が義務付けられており、元請け業者が作成する必要があります。
施工体制図の主な作成目的は、「すべての工事関係者が工事の体制を把握する」「各工事の役割分担と責任を明らかにする」「技術者の適正配置の確認」の3つです。

また、施工体制図は作成・提出後に関係者が確認できるよう適切な場所に設置する義務があることも覚えておきましょう。
さらに作成するタイミングと設置場所は工事の種類によって異なります。

■公共工事

  • 作成時期:公共工事を施工するために下請業者と「下請契約」を締結したタイミング
  • 設置場所:工事関係者が見やすい場所に設置する(法第24条の7第4項にて規定)

■民間工事

  • 作成時期:下請契約の総額が4,000万円(建築工事一式では6,000万円)を上回ったとき
  • 設置場所:工事関係者と公衆が視認しやすい場所に掲げなければならない(公共工事入札契約適正化法第15条第1項)

また、施工体系図は建設業法施行規則第26条第5項にて「営業図書」として、引き渡し後に営業所ごとに10年間の保存が義務とされています。

施工体制台帳の記入方法を知っておこう

施工体制台帳と施工体制図について解説しましたは、ほぼすべての建設工事で作成が必要な安全書類です。
施工管理職として、正しい記入方法を理解しておきましょう。

また、施工体制台帳をはじめとする安全書類は手書きなどの「アナログ作業」、もしくはExcelやスプレッドシートといった自社作成のファイルで作成するケースが一般的でした。
ただ、最近では建設業界のDXとしてクラウドサービスを使った国土交通省や法律に則った書類作成が可能になっています。

工事情報の変更などに柔軟に対応できるなど、さまざまなメリットがあるので多くの現場で採用される可能性があります。
自身のキャリアやスキルアップのためにも、施工体制台帳に関わる最新情報にアンテナを張ってみてはいかがでしょうか。