施行管理者が現場を適切に管理するには、施工図を作成する知識が必要とされています。
施工図は構造や細部の作り方まで指示されているものですが、これまで施工図を見たことのない方は見方がよく分からないケースも多いのではないでしょうか。
本記事では、新人・未経験の方が知っておきたい施工図の基礎知識についてご紹介します。
施工図の作成準備
施工図とは、施工のために必要な画面です。
形状や寸法、使用部材などが細かく記載されています。
この施工図は施工管理者などの施工者が描く図面となります。
施工図を描く前には十分な準備が必要です。
準備をしないままに描き始めてしまうと、描いては調べ、分からない部分があると手を止めて調べる、のような事態になり、余計に時間がかかってしまいます。
施工図の準備には、以下の段階があるとされています。
- 道具を用意する
- 設計図の読み込みをする
- 詳細の検討を行う
1.道具の用意
施工図の作成を行う際には、さまざまな資料が必要です。
資料が増えると、どれが必要なのか分かりづらくなるのできちんと整理しておきましょう。
さらに、付箋、ステープラー、赤ペン、質疑応答書、A3リングファイルなどがあると便利です。
質疑応答書は紙でも良いですが、直接エクセルに入力する方が後から確認する際に便利でしょう。
2.設計図の読み込み
設計図の読み込みをする際には、A3リングファイルに設計図のコピーを挟みます。
次に、設計図ごとに分かりやすいようにインデックス(目次)をつけます。
そして設計図をすべて見て、不明点、疑問点、確認しておきたい部分に赤ラインを引きましょう。
さらに、赤ラインを引いた場所に付箋をつけておけば後から探しやすくなります。
この後、赤ラインを引いた部分をエクセルなどに記入します。
これは質疑応答に使う際にまとめやすいためです。
3.詳細を検討する
2の工程を繰り返し、漏れがないか確認します。
省略せずに、細かい部分もとりあえず描いておくことがポイントです。
施工図を描く前の色分け図
![施工図の作成作業](https://world-corp.sakura.ne.jp/wp-content/uploads/2022/06/No265_colum_02-1024x682.jpg)
施工図を描く前には、要素別に色分けした色分け図の作成が推奨されています。
これは情報を視覚的に分かりやすく整理するためです。
色を分けていないと、さまざまな情報が雑多に集まっており、分かりにくい施工図になってしまいます。
さらに万が一、ミスがあった場合にも気付きやすくなるとされています。
以下では、色分けの一例をご紹介します。
構造図
柱、梁、壁、スラブ、部位別に色を分けておきます。
外壁仕上げ
タイルがあれば種類別に色分けを行います。
法規的な色分け
区画の特徴で分ける方法です。
たとえば、防火区画とそれ以外、耐火遮音壁と一般壁などと分けることができます。
色分けをすることで、効率よく精度の高い図面を作成できます。
施工図を自分で描くメリット
施工図を自分で描くメリットには以下が挙げられます。
メリット1:技術力を上げられる
自分で施工図を描くことで、自身の技術力を上げられます。
施工図は、設計図がベースとなります。
ただし、設計図の情報がそのまま使えるわけではありません。
施工図を作成するときに、実際に設計図通りにできるのかを確認する必要があるからです。
たとえば、設計図で平面的に成立しているものが、立体的に成立しているのかを確認しなくてはいけません。
設計図を1度すべてバラバラにして、実際に組み立てられるかをシミュレーションすることで、自身の知識や技術力を上げることにつながります。
メリット2:現場でのトラブルを減らせる
必要な資材やパーツなどを施工図に記載しておくことで、事前準備の質を上げることができ、現場のトラブルを減らすことにつながります。
施工現場は納期との関係もあり、時間との戦いになることも珍しくありません。
施工図に詳細が記載されていることで作業の効率化につながるでしょう。
また施工が難しい場合、施工図作成後に現場で打ち合わせを行うと、問題をより迅速に解決できるようになるでしょう。
メリット3:施工後のメンテナンスがしやすい
施工図に使用する資材の品番やサイズを正確に記入することで、施工後のメンテナンスがしやすくなります。
そのため、数年後にメンテナンスなどの相談があった際に、施工図を見返せばすぐに必要な材料が分かります。
さらに、天井内や壁内の状況は後から確認できませんが、施工図があれば該当箇所でどんな工事を行ったのかが確認できます。
施工図があることで、調査や解体作業のための時間を削減できるため、作業効率化やコスト削減につながります。
施工図の描き方について知っておこう
施工図は現場に欠かせない図面で、施工管理者が作成しなくてはいけません。
自分で施工図を作成することで、自身の技術力を上げたり、施工後のメンテナンスがしやすかったりなどのメリットがあります。
新人・未経験の方は、施工図の描き方について知っておきましょう。