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フレッシュコンクリートと硬化コンクリートの特徴。凝結についても解説

コンクリートは、セメント、砂、砂利、水を混合して作られる建築材料です。
コンクリートは、フレッシュコンクリートと硬化コンクリートの2つの状態に分けることができます。

本記事では、フレッシュコンクリート、硬化したコンクリートの性能や凝結などについてご紹介します。

フレッシュコンクリート

フレッシュコンクリートは、セメント・砂・砂利・水を混合して作られた状態のうち、まだ硬化していない状態を指します。
セメントの水和反応によって凝集し、流動性や可塑性を有しています。
そのため、型枠に流し込んで形状を整えることができ、表面を仕上げることもできます。

フレッシュコンクリートの特徴

ここでは、主な特徴をご紹介します。

流動性
型枠に流し込むことができる程度の流動性があります。
流動性とは、コンクリートを流し込むときの滑らかさや粘り気を表す指標です。

可塑性
型枠に流し込んだ後、型枠の形状に合わせて変形させることができます。

練り上がり性
練りやすく、均一に混ぜることができます。

ワーカービリティとは

ワーカービリティとは、コンクリートの扱いやすさのことを指します。
材料分離への抵抗や打ち込みやすさの程度などで決定します。
ワーカービリティは、コンクリートの施工性や品質に大きく影響するといわれています。
ワーカービリティが悪いと型枠に流し込むのが難しく、締固めや仕上げが不十分になり、強度や耐久性に劣る可能性があります。

また、コンクリートの配合や施工条件によって変化します。
コンクリートの配合においてはセメント・水量・骨材の種類や粒度などが影響し、施工条件においては気温や湿度、打設方法などが影響します。
ワーカービリティを適切に調整するためには、配合や施工条件を適切に設計することが重要です。

水和反応

硬化はセメントの水和反応によって引き起こされます。
セメントの水和反応が完了すると、硬化コンクリートに変化します。
硬化を促すためには、水分量の確保が重要です。
水分量が不足すると水和反応が不十分となり、強度や耐久性に劣るコンクリートとなります。

コンシステンシー試験

コンシステンシー試験とは、コンクリートの流動性や粘性などの性質を測定する試験です。
コンクリートのワーカービリティを評価する試験であり、施工性や品質に大きく影響します。

コンシステンシー試験の一般的なものは「スランプ試験」と呼ばれ、一般的に用いられています。
スランプ試験では、コンクリートを型枠に流し込んで流動性を測定します。
スランプ値は、流動性の指標として用いられます。

出典:日本コンクリート工学会「コンクリートの基礎知識

硬化コンクリートとは

硬化コンクリート

コンクリートの状態のうち、硬化した状態のことを指します。
硬化コンクリートは、セメントの水和反応が完了し、強度や耐久性を発揮します。
そのため、建造物の構造体や舗装材など、さまざまな用途に使用されています。

圧縮強度

圧縮強度とは、コンクリートが圧縮力を受け破壊するときの強さを応力度で表したものです。
圧縮強度は、強度を評価する上で重要な値とされており、コンクリートの耐荷重や耐久性などに大きく影響します。

圧縮強度に影響するもの

圧縮強度は、配合や施工条件によって変化するとされています。
配合においてはセメント量・水量・骨材の種類や粒度などが影響し、施工条件においては気温や湿度、養生方法などが影響します。

使用材料

使用材料は、主に以下の3つです。

セメント
コンクリートの骨格となる材料です。
セメントと水が反応して、セメントペーストを形成します。
また、硬化することで強度や耐久性を保証します。

骨材
コンクリートの体積を増し、強度を高める材料です。
骨材には、砂と砕石があります。
砂はコンクリートの流動性や締固め性を向上させる働きがあり、砕石は強度を高める働きがあります。


セメントと反応して、セメントペーストを形成する材料です。
水の量が多いと流動性は良くなりますが、強度が低下します。
反対に、水の量が少ないと流動性は悪くなりますが、強度が高くなります。

施工方法

ここでは、一般的な施工方法をご紹介します。

1.型枠の設置
コンクリートを打設するための型枠を設置します。
型枠は、形状や寸法を決める重要な要素です。

2.鉄筋の配筋
強度を高めるために、鉄筋を配筋します。
鉄筋は、コンクリートの内部に骨組みとして組み込まれ、引張強度を補強します。
鉄筋の配筋は、コンクリートの設計図面に基づいて行います。

3.調達
コンクリート工場からフレッシュコンクリートを調達します。

4.打設
型枠内にフレッシュコンクリートを流し込み、振動棒などで締固めます。
締固めによって空気を抜き、均一に密実に固まります。

5.養生
コンクリートが硬化するまで、適切な養生を行います。
養生によって、強度や耐久性を向上させます。

コンクリートの凝結とは

凝結とは、セメントと水が反応しセメントペーストを形成し、流動性を失い固まるまでの過程を指します。
硬化コンクリートになるまでの過程ですが、以下通りです。

初期凝結
セメントと水が反応してセメントペーストが形成されると、流動性を失い型枠に固着するようになります。
この過程が初期凝結と呼ばれています。

最終凝結
初期凝結が完了すると徐々に硬化していき、この過程を最終凝結といいます。
最終凝結が完了すると強度を発揮し、荷重を支えることができるようになります。

コンクリートの凝結は、一般的にセメントの種類や配合が濃いほど凝結は早く進みます。
また、気温が高いほど凝結は早く進みます。

コンクリートの凝結試験

コンクリートの凝結の進行具合を評価する試験です。
凝結試験には、以下の2つの試験方法があります。

プロクター貫入試験
コンクリートの凝結の進行具合を、貫入針の貫入抵抗値を測定して評価する試験方法です。
貫入針をコンクリート試料に貫入し、貫入抵抗値を測定します。
貫入抵抗値が一定値に達するまでの時間を測定し、凝結時間を算出します。

セメントペースト凝結度試験
セメントペーストの凝結の進行具合を、流動性を測定して評価する試験方法です。
セメントペーストを型枠に流し込み、一定時間後に型枠を外して、流動性を測定します。
流動性の低下率を測定し、凝結度を算出します。

凝結試験は、コンクリートの施工や品質管理において重要な試験です。
凝結が遅いと、型枠からコンクリートがこぼれるなどの問題が発生する可能性があります。
また、コンクリートの凝結が早すぎると、締固めや仕上げが不十分になる可能性があります。
凝結試験を実施することで、凝結の進行具合を把握し、適切な施工や養生を行うことができます。

コンクリートは強度を確保するためにさまざまな試験を行う

フレッシュコンクリートと硬化コンクリートには、それぞれ異なる特徴があります。
コンクリートの施工や品質を向上させるためには、それぞれの特徴を理解し、適切な施工や養生を行うことが重要です。