Menu

BIMによって効率化は図れる!?3D CADとの違いやソフトの種類

建築業界では、BIM(Building Information Modeling)を導入する動きが見られています。
BIMは3D CADと似ているものですが、これまでの3D CADと異なる点もあり、業務効率化につながる面も多いです。

本記事では、施工管理職に携わる方は知っておきたい、BIMの紹介や3D CADとの違い、導入することで得られるメリットなどについて紹介していきます。

建築におけるBIMとは

建築におけるBIMとは、建築物を三次元で表現したデジタルモデルで、使用されている建材パーツについての情報も加えることができます。
壁や階段、柱などに関して、厚さや高さなどを記録し、建物の内部や構造などについても詳しく把握できるのが特徴です。
また、BIMを扱う際には専用のBIMソフトを使用します。

国内のBIMの推進状況とは

BIMは各企業だけでなく、建設業界全体の施工、運用プロセスの変革につながるとして国を挙げて支援が行われています。
2020年2月に国土交通省が発表した「建築分野における検討WG(建築BIM推進会議)の活動状況について」によると、設計分野では34%の企業がBIMを導入しています。
また、ゼネコンを対象に行われた施工部門の調査では、71%の企業が導入しているという結果が明らかになっています。

ただ、課題としては積極的に活用している企業が設計分野では19%、施工部門でも54%しかないことが挙げられます。
BIMは企画設計、施工、保守運用の全プロセスで活用されてはじめて大きな成果が得られるため、今後は導入格差と使用率の向上が求められるでしょう。

※出典:国土交通省「建築分野における検討WG (建築BIM推進会議)の活動状況について

BIMと3D CADとの違い

施工管理職の男性2人

3D CADとBIMは、どちらも建築分野の三次元モデル「CAD」の一種です。
同じCADという仲間ではありますが、3D CADとBIMでは、モデルの作り方や修正時の対応が異なります。
以下では、モデルの作り方や修正時の対応の具体的な違いについて、紹介していきます。

モデルの作り方

3D CADでは、最初に二次元のモデルを作ってから、三次元の形状に組み立てるというやり方をします。
これに対してBIMは、部品のデータを用いて、最初から三次元で設計したモデルを作るのが、大きな違いです。

修正が必要なときの対応

3D CADで作ったモデルは、一部に修正を加える際に、それに伴って変わる箇所にも、すべて修正を加えなければなりません。
これに対してBIMは、一部を修正すれば整合性を保てるように、関連箇所も自動的に修正されます。

BIMを活用した業務の流れ

BIMによる設計図の作成までは、大きく「3Dモデルの構築」「ビューの作成」「集計表の作成」「設計図面の作成」の4つの工程に分けられます
それぞれの工程の内容を確認してみましょう。

3Dモデルの構築

BIMの大きな特徴は「最初に3Dモデル」を構築することです。
従来の建築設計においても、3Dモデルや3次元CADは利用されていましたが、前述のとおり、これまでは2次元の設計図を作成して3Dの立体モデルを作成することが一般的でした。
BIMでは建具、家具、備品、配管などの建築要素を組み合わせて建物の3Dモデルを最初に作成します。
各要素(オブジェクト)には、寸法、素材、品番、価格などのあらゆる情報を付与できるため、3Dモデルだけで幅広い項目の管理が可能になります。

ビューの作成

構築した3Dモデルをもとに、平面図や立体図、配置図、断面図の「ビュー」を作成します。
作成したビューは、3Dモデルに紐づけた情報が反映されるため、3Dモデルを更新すれば自動的にビューの内容も変化します。
また、3Dモデルからは建物の面積や資材の数量といった集計表もアウトプットが可能です。
各種図面と同じように、3Dモデルの変更にも対応できます。
図面や数量は工事の進捗によって変化することが多く、その都度、図面を書き直す必要があり、出し戻しや修正の負担や工事の遅延につながっていました。
その点、BIMであれば自動的に内容が反映ができるため、スピーディーに業務を進めることが可能です。

設計図面の作成

ビューを図面枠用のシートに貼り付けて、設計ドキュメントを作成します。
BIMを活用すれば、正確で分かりやすいパースなどのドキュメントを作成しやすいため、クライアントとの合意形成の円滑化や組織外の担当者との連携が図りやすくなります。

BIMの強み・メリット

施工管理職の男性

BIMを導入することで、次のようなメリットが得られます。

業務効率が上がる

BIMでは、建物に使われている建材や、設備などに関する情報も簡単に参照できることから、管理しやすいのがメリットです。
一部の作業を自動化できることで入力業務の負担が減り、情報が参照できることで確認作業などにかかる時間も削減できるでしょう。
また、設計の初期段階から施工計画を立てられる点も大きな強みです。

設計の品質が向上する

シミュレーションが容易に行えるようになり、手間も減ることから、設計の品質向上にもつながります。
設計中の建築物に関して、改善点の模索などもしやすくなるでしょう。
早い段階で改善点を発見することで、コスト削減にもつながります。

施主への説明がしやすい

BIMの三次元モデルは、建築に関する専門知識がない人が見てもわかりやすいので、施主への説明がしやすいです。
これまで、図面を用いて施主へ説明をする際に、なかなか合意が得られず苦労していた人もいるでしょう。
BIMを導入することで、そのような悩みも解決できます。

BIMソフトの種類

BIMの導入を検討するにあたって、最初はフリーソフトで試してみたいと考える人もいるでしょう。
しかし、現在のところBIMのフリーソフトはありません。
有料になりますが、代表的なBIMソフトとしては次のようなものがあります。

ARCHICAD

BIMによる3D設計機能のほかに、確認申請の支援機能なども利用できるソフトです。
通常のライセンスのほかに、単独作業専用で少し安い、Soloバージョンのライセンスもあります。

GLOOBE

国内企業が開発しているBIMソフトです。
国産ということで、日本の建築基準法による制限を、可視化できる機能が備わっているのが大きな特徴です。
建築物の3Dモデルと背景を合成できる機能などもあります。

Revit

Revit(レビット)は世界的に普及している2DCADソフト「Autodesk(オートデスク)社」が開発した3DCADソフトです。
BIMモデルの設計にも適しているツールであり、意匠設計・構造設計・設備設計といった建築設計全般を網羅するオブジェクトや機能が搭載されています。

特徴としては、データの互換性が高く共同設計プロセスを支援する機能が備わっているので、1つの3Dモデルに集約した情報を関係各位が各々の作業に役立てて活用するというBIMの理想のプロセスを実現しやすい3DCADソフトといえるでしょう。

【関連記事:RevitとはBIMに強いCADソフト!機能や使い方を学ぼう

BIMを有効活用しよう

BIMは、建築業界で注目されている三次元モデルです。
BIMを導入することで、設計過程で必要な作業の一部を自動化したりすることが可能なので、とても便利です。
特に、BIMツールや3DCADを使用できる人材がいなければ、顕著な課題である「十分な使用率の増加」を解決することは困難です。
このような需要の高まりに対応するためにも、これから施工管理職を目指している方は、セミナーなどのサービスを利用するなどして、BIMについて勉強しておくことをおすすめします。