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AutoCADの使い方をマスターしよう!備え付けのツールセットも併せて紹介

CADソフトの1つであるAUTODESK社製「AutoCAD」は、土木や建設業界で幅広く使われています。
建築設計や設備設計などをより効率的に進められるツールセットも豊富にリリースされているため、こちらもチェックしておきたいところです。
本記事では、AutoCADの概要やツールセットの種類、基本的な使い方をご紹介します。

AutoCADとは

AutoCAD(オートキャド)は、土木・建築やエンジニアリング、製品設計に利用可能な2D/3Dコンピュータ支援設計ソフトウェアです。
3次元設計と作図、データの書き出し、トレースなどの機能があり、作図作業を効率化できます。
独自のテクノロジーである、TrustedDWG®を利用することにより設計データを効率的に保存・共有が可能です。
AutoCADを活用することで、設計業務が最大7倍ほど効率化されるともいわれています。
Webアプリとモバイルアプリバージョンがあるため、パソコンだけでなくタブレットやスマホからいつでも図面にアクセス可能です。

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AutoCADのツールセット7種類

AutoCAD

AutoCADのサブスクリプションでは、7種類のツールセットが備えられています。
ツールセットは「AutoCAD Plus」と呼ばれており、それぞれ特徴が異なります。

Architecture:建築設計

Architectureツールセットは、8,500点以上のオブジェクトとスタイルを選択できるツールセットです。建築設計とドキュメント作成を効率的に行えます。

Mechanical:機械設計

70万点を超える製造パーツに対応しております。
標準規格のコンポーネントを使い、正確な図面が作成できます。

Map 3D:地図情報

GISと3Dマッピングのための専用ツールです。
CADデータに地理情報システムを導入できます。

MEP:設備設計

MEP(機械、電気、配管)に対応しております。
ビルの設計や製図、ドキュメント作成などを行えます。

Electrical:電気制御設計

電気制御システムの作成、変更、ドキュメント作成を行えるツールです。

Plant 3D:プラント設計

プラント設計用のツールで、3DモデルやP&IDの作成・編集が可能です。
また、配管のオルソ図やアイソメ図を抽出できます。

Raster Design:ラスター画像処理

スキャンした図面を編集し、ラスターイメージをDWG™オブジェクトに変換可能です。

AutoCADの使い方(基本)

AutoCADには多くの機能が搭載されています。はじめて使用するなら、まずはAutoCADの基本を知ることで、最終的に使いこなすことができるようになるでしょう。
ここでは、AutoCADを使った基本的な建築平面図の作成方法をご紹介します。

STEP1:コマンドを覚える

AutoCADを使う上で覚えておきたいのが、コマンドとレイヤーです。
AutoCADは、コマンドという指令をソフトに出すことで操作を行います。
コマンドは、キーボードやAutoCAD内のメニューから選択しましょう。
AutoCADの設計画面の一番下に、コマンドを入力するバーが設けられているので、コマンドを入力して指示を出します。

STEP2: 基準線とブロックの作成

まずは、作図のための基準線を作成します。
基準線は、マウスを用いて引きます。
マウスのホイールを回転させ拡大・縮小、ダブルクリックで範囲ズーム、ドラッグすることで画面移動ができます。

次に、ブロックの作成を行います。
ブロックとは、オブジェクトのグループを1つのブロック定義にすることです。
まとめることで作図の繰り返しを省き、作業を効率化できます。
ブロック定義できるのは、記号や部材、部品などです。
ブロック参照の挿入は、「リボンギャラリー」または「ブロックパレット」から行えます。

STEP3:寸法の記入

作成した基準線通りに寸法記入を行います。
AutoCADでは、さまざまな寸法タイプをオプション切り替えで記入できます。
コマンド実行後、オブジェクトを選択するか、寸法の起点をオブジェクトスナップで指示しましょう。
寸法スタイルによって基本的な描き方を設定できます。

STEP4:躯体の作成

柱、壁、間仕切りなどの作図作業を行います。

柱の配置
柱になる600角の正方形を作図し、基準線の交点に配置します。

壁の作図
厚さ200㎜の構造壁を配置し、基準線を両側に100㎜ずつオフセットして作図します。
レイヤーは「躯体」に変更しましょう。

間仕切り壁
厚さ100㎜の間仕切り壁を作成します。
レイヤーは「間仕切り」に変更しましょう。

STEP5: 階段・収納の作図

階段と収納部分の作図を行います。

STEP6:建具の作成

図面に、窓やドアなどの建具を配置します。
ダイナミックブロックなどで先に建具を作成しておくと、一つのダイナミックブロックで大きさや形状の異なる建具を配置できます。
片開きドアは、間口が1,000㎜、900㎜、750㎜の3種類に対応しています。
引き戸は、幅1,800㎜、2,000㎜の2種類に対応しています。

効率的に作図する方法

ある程度経験しAutoCADに慣れたら、ソフトに搭載されている便利な機能を積極的に使用するのがおすすめです。使いこなせば、業務効率が大幅に向上するでしょう。

コマンドラインで操作する

初めはメニューのアイコンをクリックしつつ、機能を用いて設計を行います。操作に慣れてきたら、コマンドラインへ文字を入力して機能を使えるようにしましょう。コマンド操作に切り替えたいと思ったら、画面をより広く使うためにメニュー欄を削除します。

複写コマンド
対象のオブジェクトをコピーし、別の場所に貼り付けるコマンドです。コマンドラインにCOPYCLIPを入力すれば、選択したオブジェクトがクリップボードにコピーされます。さらにPASTECLIPでコピーしたオブジェクトを貼り付けます。コピーされた状態のオブジェクトを貼り付ける操作を繰り返せば、オブジェクトを複写できます。

移動コマンド
対象のオブジェクトを指定した場所へ移動させるコマンドです。コマンドラインにMOVEと入力し、移動させたいオブジェクトを選択して移動を開始する位置と移動先の位置を指定します。

回転コマンド
ある一点を基点とし、基点を中心に図形を回転させるコマンドです。コマンドラインにROTATEと入力し、回転させたいオブジェクトを選択してEnterを押します。次に基点を指定し、回転角度を設定すれば、指定した角度の通りにオブジェクトが回転します。

オフセットコマンド
同心円、平行な線、平行な曲線が作成できるコマンドです。コマンドラインにOFFSETと入力してオブジェクトと座標を指定すると、指定したオブジェクトと同じオブジェクトが、指定した座標から作成されます。この特性を活かして、平行線や曲線を描きます。

トリムコマンド
複数のオブジェクトが重なる位置でトリミングし、重なった線を消すコマンドです。コマンドラインにTRIMと入力し、重なった線を選択してEnterを押します。

削除コマンド
選択したオブジェクトを削除するコマンドです。コマンドラインにERASEを入力し、削除したいオブジェクトを選択します。最後に作成したオブジェクトを削除するLや、すべてのオブジェクトを削除するALLのオプション等があります。

延長コマンド
指定したオブジェクトを他のオブジェクトにぶつけるまで延長するコマンドです。コマンドラインにEXTENDと入力し、ぶつけたいオブジェクトや線を選択します。さらに、延長させたいオブジェクトまたは線を選択してEnterをクリックします。

フィレットコマンド
2Dオブジェクトおよび3Dオブジェクトの角の部分や、3Dオブジェクトの面の部分を丸めるコマンドです。コマンドラインにFILLETと入力し、丸みを形成する線同士を選択します。3Dオブジェクトの場合は、面と面のつなぎ目を選択すれば、選択箇所に丸みのついた加工ができます。

AutoCADの便利な機能

コマンドラインに文字を入力する方法の他にも、積極的に使って欲しい便利機能があります。

極トラッキング
極トラッキングの設定をONにすれば、角度を指定するだけで簡単に線やオブジェクトが描ける機能です。例えば90℃の方向へ線を作成したい場合、極トラッキングをONにし、設定で90℃を指定するだけで簡単に90℃の方向へ線が描けます。

ポリライン
バラバラに認識されているオブジェクトを一つのオブジェクトとして認識させる機能です。例えば正方形は4つの線(オブジェクト)によって形成された図形ですが、ポリラインなら正方形を一つのオブジェクトとして扱えます。すると、図形全体の線の幅を一度に変更したり、直線にカーブをつけたりできます。

AutoCADと互換性のあるCADソフト

AutoCADは、互換性を持つソフトと使用することで、より効率的に業務を進められます。
ここでは、AutoCADと互換性のあるCADソフトを3つご紹介します。

1. IJCAD
IJCADは、2D汎用CADです。
互換CAD市場では、国内トップシェアを誇るソフトです。
必要な機能や種類だけを運用することが可能なため、無駄なコストを削減できます。

2. ARES
ARESは、低価格ながら業界標準CADと互換性のある2DCADソフトです。
DWG、JWW、SXFなど多様なファイル形式に対応しています。
パソコンだけでなくスマホやタブレットなどにも対応しており、クラウド上でも利用可能です。

3. DraftSight
DraftSightは、幅広い業種に向けた機能を備えた2D/3DCADソフトです。
2Dから3D、その逆も簡単に行き来できるため、作図作業も効率的に行えます。

AutoCADを利用して業務を効率化しよう

AutoCADは、多くの機能を備えている2D/3DCADソフトです。
また、7種類あるツールセットを導入すれば、さらに専門的な設計作業を効率化する
ことができます。
CADオペレーターとして仕事をするうえでは、欠かせないCADソフトといえるでしょう。