施工管理の全国平均年収は、厚生労働省の職業提供サイトによれば建築施工管理で641.6万円（出典：令和6年賃金構造基本統計調査）です。土木施工管理の場合は596.5万円となっています。

日本の平均年収は2023年の国税庁調査で460.0万円であることを考えると、施工管理は比較的、平均年収が高い仕事といえます。

ただ、施工管理といっても年代・工事・業界によって平均年収は異なります。未経験で施工管理になる場合、どのジャンルで年収が高いのか、どのようにしたらさらに年収がアップするのかも知りたいと思うのではないでしょうか。

この記事では、施工管理の平均年収が高い理由と年収をさらにアップする方法について解説します。

施工管理とは建設工事の管理を担う仕事のこと

施工管理（せこうかんり）は建設工事の管理全般を行い、建設業界に欠かせない職種です。建設需要が高まる昨今、施工管理という職種の存在感はますます上がっていくでしょう。
施工管理は、4大管理と呼ばれる管理業務を行います。具体的には、下記のとおりです。

施工管理については、以下の記事をご参照ください。
施工管理とは？現場監督との違いや必要な資格、平均年収を解説

施工管理の平均年収が未経験者でも高い理由

施工管理の平均年収が高い理由には、主に下記のものが挙げられます。

施工管理の平均年収が高い理由

• 建設業界が人手不足で高いニーズがある
• 知識・経験が重要
• 各種手当が付く
• 業界全体が水準を底上げしている

商業ビル・住宅の新築やインフラの維持修繕などで建設投資額が増えるのに伴い、建設業界の市場は拡大傾向にあります。一方で、少子高齢化などの理由により、施工管理に従事する人の数は減っていました。そのため、建設工事を進めるのに不可欠な施工管理は、建築施工管理の場合、有効求人倍率8.56倍と高いニーズがあり、同時に平均年収も高くなっているのです。

なお、施工管理は知識・経験が重視される仕事ですが、近年では研修制度が充実しはじめており、始めやすい仕事になっています。また、国家資格を取得したり、現場の責任者を務めたりすることで手当が付くのも、高給になる理由といえるでしょう。

施工管理の年代別平均年収

施工管理の平均年収は、年代別に見ると下記のようなカーブを描いて上昇します。厚生労働省のデータによれば、最高は55～59歳の800.4万円です。

施工管理の年齢別平均年収

出典：厚生労働省「jobtag」

注目すべきは、その伸び率です。20～24歳では378.1万円ですが、25～29歳で既に日本の平均年収を上回る508.6万円になっています。さらに35～39歳では674.9万円になり、厚生労働省が発表している40代の平均年収である約552万円を大幅に超えています。さらに40代では、700万円台に達しているのです。

順調に年収が上がり、他業界の同年代社員より数年早いペースで年収が上がっていく点は、安定した高年収を目指す人にとって大きな魅力といえるでしょう。

建設業界の職業別平均年収

さまざまな仕事を担う人で成り立つ建設業界では、未経験・未資格でも始められる仕事がたくさんあります。その中でも施工管理の平均年収は、下記のとおり、他の職業より明確に高い傾向にあるといえるでしょう。

出典：厚生労働省「jobtag」

施工管理の年収の差が生じる理由

施工管理の年収差は、どのような理由で生まれるのでしょうか。ここでは、施工管理の年収差が生じる理由について解説します。

保有する資格

施工管理の場合、国家資格である施工管理技士の「1級」を有していれば、大規模で難度の高い建設プロジェクトを担えるようになります。これにより、具体的な昇進・昇格などに直結し、結果として、2級施工管理技士との年収差が大きくなるのが一般的です。

1級施工管理技士を保有している場合、勤務先の企業規模や地域によって異なりますが、2級との年収差は100万円以上になる場合もあります。未経験者の場合は、まず2級施工管理技士の資格取得からはじめたいところです。

知識と経験

施工管理は、建設現場で得た知識や経験が重視される傾向が強い仕事といえます。さまざまな建設現場を経験し、知識や経験が豊富であればあるほど、難度の高い建設プロジェクトや大規模建設プロジェクトを任されやすくなります。
それに伴い、責任者手当・役職手当などが加算され、結果として高年収につながりやすくなるでしょう。

企業の規模

建設業界は重層下請構造であり、元請けの企業が案件を受注して、さまざまな協力会社に再委託していく仕組みです。元請けとなるゼネコンは建設プロジェクト全体の管理を担うため、企業規模が大きくなり、それに伴って平均年収が高くなる傾向があります。特に売上高が1兆円を超えるスーパーゼネコンといわれる企業は、平均年収も1,000万円以上となっています。
そのため、高年収を目指すなら、できる限り大規模の企業で施工管理に就きたいところです。

また、土木か建築か、また公共工事か民間工事が主体かによって企業の利益率は変わり、それに伴い給与水準も変化します。一般に公共工事主体の企業の場合、売上は安定するものの利益率は低く、平均年収も低い傾向です。

勤務地

大都市圏で勤務する施工管理の年収は、高い傾向があります。具体的には、厚生労働省のデータによれば、東京都（676.9万円）や大阪府（687.5万円）といった大都市圏で全国平均年収を上回っています。

一方で、地域によっては年収差が大きくなり、高知県（417.6万円）や宮崎県（395.7万円）のように全国平均年収を下回る場合もあるでしょう。生活費とのバランスはあるものの、勤務地を選ぶのは重要なポイントといえるかもしれません。

施工管理未経験者が年収をアップさせる方法

経験の有無を問わず、施工管理で年収をアップさせるには、いくつかの方法があります。最後に、施工管理未経験者が年収をアップさせる方法について解説します。

1級施工管理技士を取得する

施工管理未経験者が年収をアップさせる方法に、1級施工管理技士の資格を取得することが挙げられます。1級施工管理技士を取得することで、施工管理のスペシャリストとして認定され、大規模建設プロジェクトの監理技術者を務められるからです。

1級施工管理技士の第一次検定は、2024年度から試験実施年度に満19歳以上であれば誰でも受検可能になりました。ただ、第二次検定の受検には一定の実務経験が求められるので、注意が必要です。

大規模建設プロジェクトの経験を積む

未経験者がさまざまな大規模建設プロジェクトで施工管理の実務経験を積み、年収アップを目指す方法もあります。街の再開発や高速道路・ダムなどの建設工事は関係者も多く、工期も長きにわたるものです。これらの大規模建設プロジェクトに携わることで、未経験者でも問題解決能力や調整力、リスク管理能力などが養われます。

大規模建設プロジェクトを成功に導いた経験は、施工管理のキャリアを構築する上で重視され、高年収のオファーも受けやすくなるでしょう。

大手ゼネコンやハウスメーカーへ転職する

大手ゼネコンやハウスメーカーへ施工管理として転職することも、年収アップの方法といえるでしょう。
規模の小さな企業や地方を拠点とする企業では、どうしても年収アップの幅が限られるのが理由です。

全国・海外展開する大手ゼネコンやハウスメーカーであれば、年収1,000万円を実現することも夢ではありません。なお、大手企業への転職は、施工管理として高い実力を兼ね備えているのと同時に即戦力であることが求められ、なおかつ厳しい競争を勝ち抜く必要があります。未経験者では難しいため、さまざまな建設プロジェクトの経験を積み、専門的で幅広い知識を得てから臨みたいところです。

施工管理未経験者が年収アップしたいならセコカンNEXTに登録を

施工管理の仕事は建設業界において高い需要があり、未経験・無資格ではじめられるものの中でもひときわ年収が高い仕事です。年収の伸び率が高い施工管理ですが、国家資格を取得したり大規模建設プロジェクトの経験を積んだりすることで、さらなる高年収が期待できるでしょう。

もっと条件の良い施工管理に就きたい方や未経験で施工管理に興味がある方は、建設業界に特化した転職・求人情報サイトであるセコカンNEXTへの登録がおすすめです。
セコカンNEXTでは、20～60代の幅広い年代の方に施工管理をはじめとしたさまざまな建設業界の仕事をご紹介し、各方面でご活躍いただいております。ぜひ、セコカンNEXTにご登録ください。