施工管理職の年収事情は、仕事内容や資格についての情報と同様に、気になるポイントではないでしょうか。
今回は「施工管理職の年収事情」として
- 施工管理職全体
- ゼネコン/サブコン/ハウスメーカー
- 資格を持つ施工管理技士
- 年代
- 最終学歴
上記5つの観点から、施工管理職の年収事情を紹介していきます。
建設業界全体と施工管理職全体の年収
国税庁が発表している「業種別及び給与階級別の給与所得者数・給与額」によると、建設業の平均年収は、約500万円です。
建設業の中で、平均年収以上に分布されている方は、施工管理職(特に施工管理技士の資格保有者)の方が多いようです。
そのため、建設業界の中で、施工管理職の年収は高めといえるでしょう。
施工管理職で働く多くの方は資格保有者であり、資格がある方のみが従事できる仕事も多いため、希少価値と責任度という意味で、全的的に年収は高めとなります。
また、資格保有者かどうかだけではなく、経験年数によっても年収は変わります。
建設業はさまざまな雇用形態で働く方がいるため、年収の振れ幅が大きいという特徴もあります。
一般的に正社員が最も年収が高く、その他の雇用形態で働く方とで、年収の乖離があります。
しかし、近年では、同一労働・同一賃金が徹底されはじめたので、年収格差は少なくなっていくと予想されます。
また、他業界の平均年収との比較でいうと、小売業(アパレルなど)が約400万円、製造業が約450万円なので、これらの業界より、建設業界の平均年収は上といえるでしょう。
次項からは施工管理職が関わる年収について、さまざまな角度から、さらに細かく紹介していきます。
出典:国税庁「令和元年度民間給与実態統計調査」
出典:国税庁「業種別の平均給与」
施工管理技士の年収
施工管理技士は、建設業法で定められた国家資格「施工管理技術検定」の合格者を指し、資格は7つに分かれております。
ここでは、7つの資格保有者である施工管理技士ごとに、目安となる年収をご紹介します。
- 建築施工管理技士(1・2級):約310~600万円
- 建設機械施工技士(1・2級):約400~700万円
- 土木施工管理技士(1・2級):約400~650万円
- 電気工事施工管理技士(1・2級):約480~610万円
- 造園施工管理技士(1・2級):約300~600万円
- 電気通信工事施工管理技士(1・2級):約480~630万円
- 管工事施工管理技士(1・2級):約490~580万円
※年齢・経験によって異なります
資格保守者は、無資格者に比べて年収が上がります。
また、難易度の高い1級施工管理技士の資格を取得後は、2級施工管理技士と比べて年収が飛躍する可能性もあるようです。
ゼネコン・サブコン・ハウスメーカーの年収
年収は、どのような企業で働くかによっても異なります。
ゼネコン・サブコン・ハウスメーカーそれぞれの年収事情には、どのような違いがあるのかみていきましょう。
なお、ここで紹介していく年収は、施工管理職を含めた建設業の企業ごとの年収となります。
ゼネコン(総合建設業社)
ゼネコン全体の平均年収は、約660万円程度といわれています。
スーパーゼネコン・大手ゼネコン
スーパーゼネコンや大手ゼネコンの年収は、700~850万円がボリューム層となります。
ゼネコン全体と比べても、かなり高い年収傾向にあります。
有資格者であれば、年収が1,000万を超えることも珍しくありません。
誰でも聞いたことのあるような有名建築物などは、スーパーゼネコン・大手ゼネコンが建設していることがほとんどです。
中堅ゼネコン
中堅のゼネコンの年収は、約650~750万円がボリューム層となります。
ゼネコン全体と比べると、高年収といえるでしょう。
中堅ゼネコン企業は、大手ゼネコンやスーパーゼネコン会社と組んで、大規模工事に参加することも多々あります。
小規模ゼネコン
小規模ゼネコンの年収は、約600~700万円がボリューム層となります。
大手ゼネコンやスーパーゼネコン、中堅ゼネコンと比べると高年収とはいえませんが、ゼネコン全体の平均年収とほぼ同じです。
ゼネコンと呼ばれる企業の多くは小規模ゼネコンとなるため、ゼネコン全体の平均年収とほとんど変わらない結果となります。
サブコン
サブコンの平均年収は、約400万円程度といわれています。
サブコンの企業規模はゼネコンに比べて小さいため、年収はゼネコンよりも低い傾向です。
サブコンとは、ゼネコンから建設作業や設備工事を請け負う企業を指します。
建設工事をゼネコン1社で行うのは難しいので、さまざまな分野を担当するサブコンは不可欠です。
たとえば、電気や空調設備、杭工事、とび工事などを請け負います。
ハウスメーカー
ハウスメーカー全体の平均年収は、約450万円程度といわれています。
ただし、ゼネコン同様、ハウスメーカーも大手企業から中小企業まで幅広いため、年収分布も幅広くなります。
全国に支社があるような大手メーカーであれば年収は700~900万円、中小メーカーでは約400~500万円が、ボリューム層となります。
「主に戸建住宅の建設に携わり、年収も上げたい」という方は、大手ハウスメーカーへの就職を考えてみるのもおすすめです。
年代別:施工管理職の年収
施工管理職の年収は、年齢や経験によっても変化します。
ここでは、年代別の施工管理職の年収事情をご紹介します。
20代の平均年収
20代の施工管理職の平均年収は、約350万円程度とされています。
ただし、一級建築士の平均年収は500万円を超えるようです。
一級施工管理技士の資格を持っていれば、20代でも500万円以上の年収を目指すこともできるでしょう。
30代の平均年収
30代の施工管理職の平均年収は、約450万円程度とされています。
30代では、有資格者であり経験も加味されると、年収は上がっていく傾向にあります。年収700万円を超える方も出てくるようです。
施工管理職の資格は、実務経験が必要なものも多くあります。
30代になれば、必要な実務経験の年数を満たせることも多いため、より上位の資格を取得すれば、さらなる年収アップが期待できます。
40代の平均年収
40代の施工管理職の平均年収は、約550万円程度とされています。
また多くの建設企業の施工管理職は、40代で年収のピークを迎えます。
一級建築士は、40代で約700~800万円程度の年収となる方が多いようです。
50代の平均年収
50代の平均年収は、40代とあまり変わりません。
経験を重視する企業では、40代より年収が高くなることもあります。
60代の平均年収
60代になると定年を迎える方も多く、年収は減少します。
60代前半では500~600万円の年収をキープしている方も、60代後半になると350~500万円の年収まで減少することが多いようです。
学歴別:施工管理職の年収
ここでは、最終学歴ごとの施工管理職の年収をご紹介します。
- 大卒:約560万円
- 短大/高専卒:約440万円
- 高卒:約400万円
他の業界と同様に、大卒の年収が最も高い傾向です。
ただし、施工管理職は学歴以上に資格の有無が年収に大きく影響します。
そのため、高卒であっても資格取得と経験年数を積むことで、年収を上げることは大いに可能といえます。
高収入となるコツは「資格取得によるキャリアアップ」
施工管理職の年収は、資格の有無や年齢、お勤め先の企業規模などによって大きく異なります。
特に、資格の有無は重要なポイントといえるでしょう。
資格を取得すると、担当できる業務範囲が広がります。
また、大手企業にも就職しやすくなります。
そのため、施工管理職として高収入を得たいと考えている方は、まずは資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。